c1d87b19 No.1664
ボクは男の娘だった。
お姉ちゃんや妹に囲まれて育ったせいで女装をさせられることも多かったし、お化粧の練習に付き合わされることも多かったし。
そもそも女顔で、仕種も女の子っぽくなるように躾けられてたこともあったし、お姉ちゃんには「あんた、喋らなきゃ完璧な女の子なのにね。」なんて言われて、妹にも「お姉ちゃん、絶対喋っちゃダメだからね。」とか言われる始末。
見るアニメもセーラー服戦士やプリッキュアシリーズみたいな女の子向けのものばっかだった。ゆい一、普通に男の子も見るアニメといえば遊び王シリーズくらいで、特に好きなキャラは黒の魔法少女だった。
以前のボクを一言で言えば、無口なアニメオタクって感だったんじゃないだろうか。
だからなのか、以前ボクを性同一性障害で治療してくれてたお医者さんが勧めてくれた性転換薬を飲むのに、全く抵抗は無かった。
c1d87b19 No.1665
「出てこい竜戦士黒の魔法少女!」
女の子になったボクの彼である、アニメーター養成学校に通ってる敏明くんが叫ぶ。ちなみに敏明くんは若き遊び王のコスをしている。
ボクを覆っていたシーツが外され、黒の魔法少女のコスプレをしたボクが現れる。
「イエイ、ドラゴンウオーリアー黒の魔法少女見参!」
セリフと共にポーズを決めると、フラッシュやシャッター音が鳴り響いた。
今日は女子向けのコスプレイベントなんだけど、なんかすごい一眼レフのカメラが最前列に並んでいる。
「なんかすごいカメラですね〜。」
ボクは知り合いのカメコ、双葉さんに話しかける。
「ああ、キヤノンのEOS R1ね。旦那様から借りて来たわ。」
「旦那様って、あの写真家の?」
「うん、そう、いつもは鳥とか昆虫とか撮って飛び回ってるんだけど、たまたま帰って来てたからね。」
「うひゃ〜。」
白いレンズが凄い。ところどころ傷がついてるのも格好いい。