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私の死因は、「事務上の過失」だった。
徹夜続きの残業を終え、コンビニの自動ドアが開いた瞬間に看板が落下してきた。痛みを覚える暇すらなかった。
ただ、視界が急激に白濁し、次に気がついた時には、白亜の廊下のような場所に立っていた。
そこは、いわゆる「死後の案内所」というよりは、薄暗いオフィスビルの一室のようだった。
デスクには山のような書類が積み上がり、そこから一人の男が顔を覗かせた。神と名乗るにはあまりにも疲弊した、中年男性のような顔つきの存在だった。
「ああ、ごめんごめん。またやってしまったよ」
男は溜息をつきながら、私の魂(らしきもの)に向かって謝罪した。
曰く、私が死ぬべき寿命の人間と、同姓同名の全く別の人間を書類上で取り違え、私の魂を回収するボタンを誤って押してしまったらしい。
「謝って済む話か?」と詰め寄る私に、神は慌てた様子で「もちろん賠償はする! 君の望む条件で、来世を確約しよう」と提案してきた。
提示されたのは、現代日本における超資産家への転生だった。
容姿端麗、知能明晰、そして一生遊んで暮らせる資産。
死の理不尽さを理屈で塗りつぶすような、あまりにも魅力的な条件だ。
私はその契約を即座に飲み、光の輪の中へ飛び込んだ。
だが、運命とは皮肉なものだ。
転生プロセスの最中、神界のメインサーバーで大規模なノイズが発生した。
神が「あ、やべっ」と呟いた声を最後に、私の意識は急激に加速し、本来向かうはずだった胎児の器を通り越して、どこか別の場所へと射出されてしまった。
――冷たい。
それが、意識が戻った瞬間に感じた感覚だった。
鼻を突くのは、生臭い血の匂いと、焼け焦げたようなオゾン臭。
私は硬質な金属の台の上に横たわっていた。視界がぼやけている。
目を開けると、天井には冷たい蛍光灯が並び、私の周囲には、純白の防護服に身を包んだ「何か」が数名、静かに作業をしていた。
ここは天界の「霊安室」。
地上の悪魔や堕天使、あるいは禁忌に触れた存在を解体し、神聖な塵に還すための処理場だ。
「今回の個体は、サキュバスの上級種か。厄介なものだ。魂の核がまだ完全に消滅していないな」
聞き慣れない、冷徹な声が響く。
私は体を起こそうとしたが、四肢が重い。いや、重いのではない。
自分のものとして機能していないのだ。
視線を自分の体へと向けた。
そこにあったのは、見慣れたはずの自分の体ではなかった。
しなやかで白磁のような肌。
背中には、折れ曲がった黒い翼が不格好に張り付いている。
そして腰のあたりからは、先が矢印型になった長い尻尾が、まるで意思を持つかのように床を這っていた。
――サキュバス。
異界の種族。
それも、今まさに天使の手によって「退治」されたばかりの個体。
私の魂は、本来入るはずだった富豪の御曹司という揺りかごを突き抜け、あろうことか、今まさに死んだばかりの魔の肉体という「器」にスリップしてしまったのだ。
「まだ動くか? 解体処理、再開するぞ」
天使の一人が、容赦なく鋭利なメスを手にした。
銀色の刃先が、私の心臓のあたりにあるはずの魔核を狙っている。
金持ちの御曹司として、シャンパンタワーを眺めるはずだった私の人生は、神のミスによって、霊安室の解体台という最悪の場所で幕を開けようとしていた。
魂が叫ぶ。
冗談じゃない。二度も死ねるか。
私は、動くはずのない、けれど確かに自分の神経が通っているその翼を、全身全霊の力を振り絞って羽ばたかせた。
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天使のメスが振り下ろされる直前、私は無我夢中で自身の魔力を爆発させた。
天使たちの「まさか、まだ自我が……!」という驚愕の叫びが、耳の奥で遠ざかる。視界が極彩色に歪み、時空がねじ切れるような感覚とともに、私は天界の霊安室から強引に強制送還(エスケープ)された。
ドサリ、という鈍い音がして、私は硬いアスファルトに叩きつけられた。
肺に流れ込んできたのは、神聖な空気とは対極にある、排気ガスと湿ったゴミの匂い。見上げれば、深夜の都会を彩る無機質なネオンサインが、滲んで見えた。どうやら、運良く――あるいは運悪く――現代の東京のどこか、人の気配が希薄な路地裏に飛ばされたらしい。
その瞬間だった。
脳髄に直接響くような、軽薄で、どこか他人事な声が響き渡った。
『おっと、すまないねぇ。まさか霊安室で覚醒するなんて想定外だ。あそこのセキュリティはガバガバだからね、君の生存本能が強すぎたのかもしれない』
あの神だ。怒りが沸き上がると同時に、背筋に冷たいものが走った。
「ふざけるな……! ここはどこだ。それに、この体はどうなってんだ!」
私が怒鳴り声を上げると、自身の声が以前よりも艶っぽく、どこか湿り気を帯びていることに気づいて戦慄した。自分の喉を通っているはずなのに、別の誰かが喋っているような違和感。
『落ち着きたまえ。とりあえず、君のそのボロボロの肉体、全快させておいてあげよう。サービスだよ』
神がそう告げた瞬間、全身を温かな光が包み込んだ。
先ほどまで感じていた、肉体がひしゃげ、魂と馴染んでいない違和感が、嘘のように消え去る。切り刻まれそうになっていた皮膚は再生し、翼の傷も消えた。しかし、それと同時に、腹の底から焼け付くような「渇き」が湧き上がってきた。今まで感じたことのない、狂おしいまでの空腹感。それは食べ物への欲求ではない。生命力そのものを求める、魔物としての本能だった。
『さて、本題に入ろう。君を元通り――つまり、理想のイケメン御曹司――に転生させるための条件だ』
神は事務的な口調で淡々と告げた。
『合計で100点。これを溜めれば、君を無事に転生させてあげよう。……ああ、忘れていた。採点基準はこうだ。精力を奪う対象、つまり君がこれから「食事」する相手だね。男性なら5点、女性なら1点。これを100点分、蓄積すれば契約完了だ』
「……男を20人、あるいは女を100人、か」
私は思わず自分の手を眺めた。白く細い指先。爪は少し尖り、見るからに邪悪な気配を放っている。この体で、見ず知らずの人間から「力」を奪えというのか。
『頑張ってくれ。ああ、ちなみに。その体はサキュバスとして調整されているから、相手を誘惑する能力には長けているはずだよ。どう使うかは君次第だ。制限時間は……まあ、君がその体で「人間」としての理性を保てる間かな』
神の気配がふっと消えた。
残されたのは、街の喧騒と、制御のきかないほど高まる体の熱。
ふらつく足取りで路地裏から表通りへ出ると、金曜の夜の新宿だろうか、多くの人間が行き交っていた。彼らが持つ温かな「生気」が、視界の中で光の粒のように見えてくる。
空腹が、本能が、叫ぶ。
金持ちの御曹司として生きる未来を掴み取るために、私はこの「サキュバス」の皮を被り、この街の獲物たちを狩らなければならない。
私は深く息を吐き出し、最初に狙いを定めるべき「標的」を探して、人混みの中に足を踏み入れた。
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神の気配が完全に消えた後、私は自身の体の奥底から湧き上がる、サキュバスとしての本能に身を任せた。
このままの姿で――黒い翼と尻尾を剥き出しにしたまま――人混みに紛れるわけにはいかない。それは、私を退治しようとする天使たちを呼び寄せるだけでなく、人間社会をパニックに陥れることだろう。
「変身」という、魔族としての基本的な能力を思い出す。
私は、自分がなりたいイメージを強く思い描いた。……清純さと妖艶さを併せ持ち、誰もが振り返るような、現代的な美しさ。
全身を再び、冷たい魔力の膜が覆った。
背中から張り付いていた翼が、霧のように霧散していく。長く這っていた尻尾は、腰のあたりで急速に収縮し、跡形もなく消えた。鋭かった爪は丸くなり、琥珀色の瞳は、親しみやすい茶色へと変わる。
数秒後、路地裏のガラス片に映ったのは、私であって、私ではない存在だった。
そこに立っていたのは、どこにでもいそうな、けれど、どこにもいなそうなほどスタイル抜群の「女子大学生」だった。
少し崩したウェーブのかかった栗色の髪に、流行りのオーバーサイズのニット。しかし、その下には、神が与えたサキュバスの肉体が、惜しげもなく「凶器」を隠し持っている。
ニットの下で主張するのは、以前の私の人生ではお目にかかったこともないような、豊満で大きな胸だ。そして、タイトなジーパンを穿いた下半身は、その曲線美を完璧に強調していた。特に、ジーパン越しにもはっきりと形が分かる、引き締まった魅力的なお尻は、歩くたびに挑発的な揺らぎを見せる。
「よし……これなら、バレない」
私は自分の声が、以前よりもさらに甘く、魅力的に変化していることに驚きながら、路地裏から表通りへと足を踏み入れた。
夜の都会は、眠ることを忘れた巨大な生き物のようだ。
ネオンの光が私を照らす。
私は、女子大学生としての「仮面」を被りながら、心の奥底で燃え盛るサキュバスの「渇き」を隠し持っていた。
行き交う人々は、私をただの魅力的な女性として見ている。……だが、彼らは知らない。この体の中に、彼らの「生気」を貪り食う準備を整えた、悪魔の魂が宿っていることを。
私は、ジーパン越しのお尻を軽く振りながら、獲物を求めて、夜の闇へと深く紛れ込んでいった。
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繁華街の喧騒を少し離れた、街灯の薄暗い公園。私は適当なベンチを見つけ、足を組んで腰を下ろした。
タイトなジーパンが太ももを締め付け、組んだ脚のラインが強調される。私は意識的に、サキュバスの体内に眠る「フェロモン」を、吐息とともに薄く周囲に漂わせてみた。それは物理的な香水よりもずっと凶悪で、抗いがたい生存本能を直接揺さぶる。
夜風に乗って、私の気配が公園内に広がっていく。
最初に反応したのは、ジョギング中だったらしい男だ。彼は私の前を横切ろうとした瞬間、まるで見えない壁にぶつかったかのように足を止めた。
男の視線は、私の顔から胸元、そしてジーパン越しでも主張を隠せない腰の曲線へと、ねっとりと吸い寄せられていく。喉が大きく上下し、彼の「生気」がわずかに揺らぐのを感じた。
(……これがサキュバスの力。男を狂わせる毒か)
その時、前方から楽しげな笑い声が近づいてきた。
仲睦まじそうに手を繋いだ若いカップルだ。幸せを絵に描いたような光景だが、私のフェロモンはその結界さえも容易く踏みにじる。
すれ違いざま、彼氏の視線が、まるで磁石に引き寄せられる鉄屑のように私に固定された。
彼の目は、ベンチに座る私の大きな胸と、組んだ脚の付け根あたりを、文字通り「凝視」してしまったのだ。歩幅が乱れ、繋いでいた彼女の手を引く力も疎かになる。完全に、魂を奪われたような呆けた顔だ。
「……ちょっと、健一? 何見てるのよ!」
彼女の鋭い声が夜の公園に響いた。我に返った彼氏が「えっ、あ、いや、何も……」と狼狽するが、もう遅い。
「嘘よ! 今、あの子のこと、ものすごいエロい目で見てたじゃない! 信じらんない!」
「違うって、そんなんじゃないから!」
彼女は顔を真っ赤にして怒り、彼の腕を振り払って足早に歩き出した。焦った彼氏は、未練がましく一度だけ私の方を振り返り、そのまま必死で彼女を追いかけていく。
静かになった公園で、私はくすりと笑みを漏らした。
怒った彼女からはわずかな「負の生気」が、そして混乱した彼氏からは、濃厚で甘い「欲情の気配」が立ち上っている。
「……あと100点、か」
私はターゲットを絞るべく、今度はもう少し露骨に脚を組み替え、暗がりに潜む「獲物」たちの反応を待つことにした。
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男なら5点、女なら1点。
効率を考えれば男だが、女を100回落としていく地道な作業も、この新しい体を楽しむには悪くないかもしれない。そんな風に思考を巡らせ、ベンチに深く背をもたれさせていた時だった。
「あの、すみません。……ちょっと、大丈夫ですか?」
かけられた声は、驚くほど澄んでいた。
顔を上げると、そこには一人の青年が立っていた。年齢は二十歳前後だろうか、私がいま擬態している「女子大生」と同じくらいの年格好だ。清潔感のあるネイビーのシャツに、整えられた短髪。夜の公園に漂う不純な気配を浄化してしまいそうな、絵に描いたような「爽やかな好青年」だった。
「あ……はい。何か?」
私はあえて、少し心細そうな、寂しげなトーンで声を返した。サキュバスの直感が、この男が「善良な動機」で近づいてきたことを告げている。ナンパではなく、夜の公園で一人沈んでいる女性を放っておけなかったタイプ。……最高に喰い甲斐がありそうな獲物だ。
「いえ、こんな時間に一人で座っていたから。……何か、悩み事でもあったのかなって。あ、怪しい者じゃないですよ。すぐそこに住んでる大学生なんですけど」
彼は困ったように笑いながら、数歩の距離を保って立ち止まった。その配慮さえも、私の内側にある魔族の本能を刺激する。私はベンチの端を少しだけ叩き、隣を勧める仕草を見せた。
「……少し、疲れちゃって。家にも帰りたくないし、かと言って行く当てもなくて。君、親切なんだね」
彼が躊躇いがちに腰を下ろすと、私の体から立ち上るフェロモンが、目に見えない蜘蛛の糸のように彼を絡め取っていく。至近距離で見ると、男の喉仏が小さく動いたのが分かった。
「……そっか。まあ、たまにはそういう夜もあるよね。僕で良ければ、話、聞くよ? あ、僕は佐藤って言います」
「佐藤くん……。ねえ、佐藤くんは、運命って信じる?」
私は彼の方に体をわずかに傾けた。大きな胸のラインが、オーバーサイズのニットを押し上げ、彼の視界に否応なしに飛び込む。ジーパンの太ももが、彼のズボンに触れそうで触れない距離。
「えっ……う、運命? どうかな。でも、今日こうして君に出会ったのは、何か意味があるのかもって……ちょっと思っちゃうかな」
佐藤くんの頬が赤らみ、声が少しずつ上ずってくる。彼の目から「理性」の光が消え、代わりに熱っぽい「渇望」が混じり始めた。5点確定のサインだ。
「ふふ、可愛いこと言うんだね。……ねえ、佐藤くん。私、すごく喉が渇いてるの。普通の水じゃ癒やせない、特別な渇き……」
私は彼の耳元に顔を寄せ、サキュバスの吐息を吹きかけた。
「君の力を、私に分けてくれる? そうしたら、君が想像もできないような『いいこと』、してあげられるかもしれないよ」
「……っ。君が、望むなら……。僕は、その……」
もはや彼の意識は、私の言葉の裏にある「毒」に気づく術を持たなかった。私は彼の震える手をそっと握りしめ、自分の中の空腹が、甘い期待感で満たされていくのを感じていた。
「とりあえず、この男で楽しんでみるか。……ねえ、佐藤くん。もっと静かな場所に、行こう?」
最初の5点を手にするための、夜の遊戯が始まった。
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佐藤くんの目は、もう完全にとろけていた。私の吐息とフェロモンが、彼の脳内の「警戒心」という回路を焼き切ってしまったらしい。
「あの……僕、すぐそこに一人暮らしのアパートがあるんです。こんな外じゃなくて、あっちで、ゆっくり話をしませんか?」
彼は期待と緊張で声を震わせながら、誘い文句を口にした。
私は彼の手を握ったまま、上目遣いで彼の顔を覗き込む。タイトなジーパンに包まれたお尻をベンチから浮かせ、わざと彼の体に密着するように立ち上がった。
「いいの? 会ったばかりの女の子を部屋に呼ぶなんて……佐藤くん、意外と大胆なんだね」
私の胸が彼の腕に柔らかく押し当てられる。彼は「うっ」と言葉を詰まらせ、顔を真っ赤にしながら視線を泳がせた。
「あ、いや! 変な意味じゃなくて、本当に落ち着ける場所の方がいいかなって……」
「……ふふ、本当に『話だけ』?」
私は彼の耳たぶに唇が触れそうな距離で、囁くように問いかけた。
サキュバスとしての本能が、彼の中から溢れ出しそうな「エネルギー」を感知している。ただの会話で終わるはずがないことを、私以上に彼の体が理解している。
「それは……その……君が、嫌じゃなければ……」
「嫌なわけないじゃない。佐藤くんの部屋、行ってみたいな」
私は彼の腕に自分の腕を絡め、大きな胸をこれでもかと押し付けた。ジーパン越しに伝わる私の体温に、彼はもう、抗うことなどできやしない。
「案内して? 私、君のこと……もっと深く知りたいな」
神様、見てるか?
最初の5点、案外簡単に手に入りそうだ。
私は足取りも軽く、獲物となった佐藤くんにエスコートされるまま、夜の街灯の下を彼のアパートに向かって歩き出した。
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「すぐそこ」という言葉から、勝手に安普請の木造アパートを想像していたのだが、案内されたのは驚くほど立派な分譲マンションだった。
エントランスは重厚な石造りで、オートロックを抜けた先のロビーには品の良いジャズが流れている。佐藤くんはどこか誇らしげに、それでいて落ち着かない手つきでカードキーをかざした。
エレベーターに乗り込むと、彼は「10」のボタンを押し、沈黙を埋めるように話し始めた。
「あ、僕の親が不動産関係で……。大学の間だけ、空いてる部屋を借りてるんだ。全然オシャレじゃないけど」
鏡張りのエレベーターの中で、彼の視線が、私のタイトなジーパンに包まれた腰の曲線と、そこから伸びるしなやかな脚のラインを何度も往復している。10階へ向かうわずかな上昇時間は、彼にとって、逃げ場のない甘美な拷問のようだった。
通された部屋は、驚くほど整然としていた。
無機質なモノトーンの家具に、必要最低限の家電。まるで主人の誠実さをそのまま形にしたような空間だ。
「えっと、今コーヒー淹れるから。座ってて。……砂糖とかミルク、入れる?」
キッチンに立った佐藤くんは、背中を向けて必死に豆を挽き始めた。ガリガリという音が部屋に響く。自分を落ち着かせるための儀式のようにも見えた。
私はソファに深く腰掛け、足を組んでその様子を眺めていた。
「ブラックでいいよ。ありがとう、佐藤くん」
「そっか。……あ、大学では何て呼ばれてるの? 学部とか、その……」
コーヒーが落ちるのを待つ間、彼は他愛もない、あまりにも健全な世間話を振ってきた。サークルがどうだの、最近の講義がどうだの……。
(……退屈だな。私はお喋りをしに来たわけじゃないんだ)
胃の腑の底で、サキュバスの「渇き」が苛立ちとともにうねりを上げた。
私はふっと息を吐き、体内の魔力を練り上げた。部屋の空気に混ざり合うフェロモンの濃度を、一気に跳ね上げる。先ほどまでの「甘い香り」が、今は濃厚で、脳を直接痺れさせる「毒」へと変わる。
空気が、一瞬で熱を帯びた。
「佐藤くん」
私は、かつて男だった頃の記憶を総動員した。「男が、どんな瞬間に理性を失うか」を、私は誰よりも知っている。
コーヒーカップをトレイに乗せて振り返った佐藤くんの前で、私はゆっくりと立ち上がった。そして、テーブル越しに彼の方へ「前かがみ」になる。
オーバーサイズのニットの襟元が、重力に従って大きくこぼれ落ちた。
至近距離で晒される、白く、圧倒的なボリュームの胸の谷間。サキュバスとしての完璧な肉体が、彼の視神経を直撃する。
「コーヒー、美味しそうだね」
私は彼の目をじっと見つめたまま、左手でさらりと髪を耳にかけた。
指先がうなじをなぞり、細い首筋が露わになる。潤んだ瞳と、少しだけ開いた唇。
「……あ、あの……」
佐藤くんの手が、目に見えてガタガタと震え始めた。
トレイの上のカップが音を立て、彼から発せられる「生気」の匂いが、狂おしいほどに甘く、濃密に室内に充満していく。
「ねえ、佐藤くん。コーヒーの前に……もっと、あったかいもの。欲しくない?」
男としての知識と、魔族としての本能。その二つが完璧に噛み合った仕草の前に、青年の「理性の壁」が、音を立てて崩壊していくのが分かった。
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「もう、我慢できない……!」
絞り出すような佐藤くんの声と同時に、トレイがガシャンと乱暴にテーブルへ置かれた。コーヒーの黒い液体がカップから零れたが、今の彼にはそんなことは視界にすら入っていない。
次の瞬間、視界がぐらりと揺れた。
勢いよく肩を掴まれ、彼の熱を帯びた唇が、私の唇を力任せに塞いできた。
「……っ、ん、あ……っ」
喉の奥から、自分でも驚くほど甘く、可憐な声が漏れ出た。
つい先刻まで男だった頃の感覚なら、野郎に顔を近づけられるだけで吐き気がし、殴り飛ばして逃げ出すのが「普通」の反応だったはずだ。キスなんて、想像するだけで最悪の極致だと思っていた。
だが、今の私は違った。
唇が重なり合った瞬間、脳内に麻薬のような快楽物質がドバドバと溢れ出した。サキュバスの肉体にとって、男の欲望を受け入れることは、極上の食事を口にするのと同義なのだ。拒絶反応どころか、細胞の一つ一つが歓喜に震え、もっと深く、もっと強く相手を求めるように疼いている。
私は抵抗するどころか、自分でも無意識のうちに、彼の首に細い腕を回していた。
ニット越しに伝わる佐藤くんの荒い鼓動。彼の混乱した思考と、爆発寸前の生命エネルギーが、接触面から私の中へと流れ込んでくる。
(……ああ、これだ。これが『食事』なんだ……)
彼が夢中で私の唇を貪り、舌を絡ませようとしてくるのを、私は慈しむような溜息とともにすべて受け入れた。
彼の「生気」が、私の喉を通り、空っぽだった魔力の器をじわじわと満たしていく。空腹が癒やされる安堵感と、男を自分の虜にしているという征服感が混じり合い、背徳的な多幸感が全身を駆け抜けた。
「はぁ、……ごめん、急に。でも、君が……君が綺麗すぎて……」
唇が離れると、佐藤くんは酷く上気した顔で、私の耳元に熱い吐息を吹きかけた。その目はもう完全に理性を手放し、欲望という名の魔物に支配されている。
「いいよ、佐藤くん……もっと、乱暴でも。……私、君の全部が欲しいな」
私は彼を誘うように、再び「あん」と小さく吐息を漏らしながら、彼のシャツのボタンに指をかけた。
男としてのプライドは、サキュバスの甘美な本能に飲み込まれて消えていく。私はこの哀れな青年の「5点」を余すことなく吸い尽くすために、彼を深い深い快楽の底へと引きずり込んでいった。
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「っ、佐藤くん、ちょっと……苦しい、よ」
私は吐息混じりにそう漏らしたが、それは拒絶ではなく、彼をさらに焚きつけるためのスパイスに過ぎなかった。
私の言葉は、狂ったように私を求める彼の耳には、甘い肯定としてしか響かない。
「ごめん……でも、もう、止まれないんだ。君の匂いが、その声が、僕をおかしくさせる……!」
佐藤くんはそう叫ぶように囁くと、再び私の唇を塞いだ。今度はさっきよりも深く、激しく。
奪い合うような、貪り食うような口づけだ。彼の歯が私の唇に当たり、微かな痛みが走る。
だが、その痛みさえもサキュバスの体にとっては悦びに変換され、腰のあたりに痺れるような熱が溜まっていく。
「ん……ぁ、ふ……っ、さとう、くん……」
絡み合う舌の隙間から、私の掠れた声が漏れ出す。
男だった頃の記憶が「おい、相手は男だぞ」と警告を鳴らすが、体の芯から湧き上がる衝動がそれを軽々と踏みつぶした。
佐藤くんの手が、私のニットの裾から中に滑り込んできた。
熱を帯びた指先が、白磁のような私の肌をなぞる。
「信じられない。こんなに柔らかいなんて……夢じゃないよね? ねえ、君は本当に……人間なの?」
彼は私の胸元に顔を埋め、肌を吸い上げるようにして熱い息を吐き出した。
その言葉は、無意識のうちに私の正体を見抜こうとしているかのようで、私はゾクりとした快感に背中を震わせる。
「……人間かどうかなんて、今、関係あるの? 私は今、ここにいて、佐藤くんにこんなに触られて……こんなに熱くなってるのに」
私は彼の髪に指を絡め、自分の胸へと強く押し当てた。
サキュバスの魔力が、私と彼の肌が触れ合う場所から、目に見えない光の帯となって吸い上げられていく。
彼の精気が、私の渇いた枯れ井戸を潤していく感覚。
「ああ……ああ! 好きだ、名前も知らないけど、君のことが、たまらなく欲しい……!」
「ふふ、いいよ。もっと、全部出して……。佐藤くんの全部を、私にちょうだい?」
私は彼の耳たぶを甘噛みし、サキュバス特有の、理性を溶かす言霊を吹き込んだ。
「君が私を愛してくれるたびに、私はもっと綺麗になれるの。……ねえ、佐藤くん。ベッドまで、待てない……?」
佐藤くんの瞳から完全にハイライトが消え、ただドロリとした純粋な欲求だけが私を射抜く。
彼は返事の代わりに、私を抱き上げ、ソファへと押し倒した。
「……全部、あげる。僕の人生も、魂も、全部持っていっていいから……!」
青年の狂おしいまでの叫びとともに、リビングの照明がやけに眩しく感じられた。
私の脳内では、チャリン、という神聖な音と共に「5点」という数字が刻まれる予感がしていた。
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ソファに押し倒された瞬間、私はわざとらしく身を縮め、怯えた小鹿のような瞳で彼を見上げた。
潤んだ瞳に映る佐藤くんは、もはや「爽やかな大学生」の面影など微塵もなく、剥き出しの情欲に突き動かされる獣そのものだ。
「さ、佐藤くん、待って……。そんなに急にされたら、私……」
私は震える声で彼の胸板に手を添えた。
力任せに押し返すのではなく、あくまで拒絶しきれない弱々しさを演出するためだ。
(よし、この『か弱い女の子』の演技が、男の征服欲を一番煽るんだ。かつての自分なら、こんな見え透いた手口に引っかかる奴を笑っていただろうけど……。今はこの体が、どうすれば男を壊せるかを完璧に理解してる)
私の細い指が彼のシャツを掴む。その力加減ひとつで、彼がさらに一歩踏み込んでくるのがわかる。
「だめ……、怖いよ。佐藤くん、目が……さっきまでの優しい佐藤くんじゃないみたい……っ」
「ごめん、怖がらせるつもりはないんだ……。でも、もう抑えられないんだよ! 君の肌に触れるたびに、頭の中が真っ白になって、心臓が破裂しそうなんだ!」
佐藤くんは、私の手首を掴み、ソファに縫い付けるように押さえ込んだ。
荒い呼吸が私の首筋にかかり、彼の体温がジーパン越しにも熱く伝わってくる。
(そう、それでいい。もっと理性を焼き切って、ドロドロの欲望を私にぶつけてくれ。君が理性を失えば失うほど、私に流れ込んでくる『生気』は濃密になるんだから)
私はわざと顔を背け、うなじをさらけ出した。そこはサキュバスにとって、獲物を誘い込むための最も無防備で甘美な「罠」だ。
「ねぇ、佐藤くん。本当に、私でいいの? 私、名前も教えてないのに……。こんなの、いけないことだよっ、ん、あぁ……っ」
首筋に彼の熱い唇が押し付けられる。
吸い上げられるような感覚とともに、私の中に眠る魔力が歓喜の声を上げた。
「名前なんて、後でいい……! 今はただ、君を感じていたいんだ! 嫌か? 嫌なら、今すぐ僕を突き飛ばしてくれ……っ」
「嫌じゃ、ない……けど……。でも、私、どうなっちゃうの? 佐藤くんに、壊されちゃいそう……っ」
私はあえて、泣き出しそうな、それでいて期待を含んだような吐息を彼の耳元で漏らした。
この「壊されそう」という一言が、どれほど男の理性を粉砕するか、今の私は熟知している。
(ふふ、壊されるのは君のほうだよ、佐藤くん。その若くて瑞々しい生命力、一滴残らず吸い尽くしてあげる。……あ、今の私の顔、きっと最高に意地悪な笑みを浮かべてるんだろうな。でも、彼は私の胸に夢中で、そんなことには気づきもしない)
私はそっと、彼の背中に腕を回した。まるで、恐る恐る彼を受け入れるかのように。
「いいよ、佐藤くん。壊しても、いいよ……。その代わり、私を、離さないでね……?」
「ああ、約束する! 君を絶対に離さない……一生、僕のものだ……!」
彼が私のニットのボタンを震える手で外し始めたとき、部屋の空気が一気に飽和した。
サキュバスの領分に完全に足を踏み入れた獲物の、あまりにも甘い、絶望的なまでの愛の告白。
私は彼の肩に顔を埋め、彼に見えないところで、三日月のように目を細めた。
(さあ、お食事タイムだ。まずは最初の5点……。たっぷり楽しませてもらうよ、佐藤くん)
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ソファの上で最高潮に達しようとしていた佐藤くんの熱を、私は冷や水を浴びせるように指先一つで制した。
「……あ、待って。佐藤くん、だめ」
「えっ……? なんで、どうして……っ」
絶頂の淵で突き放された彼の顔は、まるで迷子になった子供のように情けなく歪んでいる。私はわざとらしく首をすくめ、頬を朱に染めて俯いてみせた。
「あのね……私、今日ずっと歩き回ってたから……その、汗くさい、かも。こんな格好で佐藤くんに抱かれるなんて、恥ずかしくて耐えられないよ……」
(……嘘だけどね。サキュバスの体は代謝さえも魔力で制御されている。汗の一滴すら、男を狂わせる極上の香水でしかない。でも、ここで一回『お預け』を食らわせるのが、一番の嫌がらせであり、最高のスパイスになるんだ)
「そんなの、僕は全然気にしないよ! むしろ、君の匂いならなんだって……」
「私は気にするの! ……ねぇ、シャワー、借りてもいい? 綺麗になってから、もっとちゃんと、佐藤くんのこと感じたいんだもん」
上目遣いで、縋るように彼の袖を引く。
佐藤くんは今にも叫び出したいような葛藤を顔に浮かべていたが、私の「もっとちゃんと」という殺し文句に屈した。
「……わかったよ。すぐそこだから。……早く戻ってきてね」
「ありがとう。佐藤くん、優しいね」
私はリビングの真ん中で、彼に見せつけるように立ち止まった。バスルームへ向かうのかと思いきや、その場でニットの裾に手をかける。
「え、あ……脱ぐの? ここで?」
「だって、脱衣所狭いんでしょ? それに、どうせ後で見せるんだから、同じかなって……」
私は確信犯的に、彼の「目の前」で服を脱ぎ始めた。
まずはオーバーサイズのニットをゆっくりと頭から引き抜く。細い腕が露出し、その下から現れたのは、レースをあしらった黒いブラジャーに収まりきらない、圧倒的なボリュームの胸だった。佐藤くんの呼吸が止まるのが、はっきりと聞こえた。
(……ふふ、見てる見てる。視線が刺さるようだ。男っていうのは、こういう『無防備な露出』に本当に弱いよな)
私は彼の視線を意識しながら、時折、悪戯っぽく視線を絡ませる。彼は顔を真っ赤にしながらも、瞬きすることさえ忘れたように私の肢体を凝視している。
次に、タイトなジーパンのボタンを外した。ジッパーが下がる乾いた音が、静かな室内にやけに大きく響く。
私は片脚ずつ、しなやかな動作でデニムを脱ぎ捨てた。ジーパンに押し込められていた、形自慢のお尻が解放され、Tバックの細い紐に食い込む肉感が露わになる。
「……っ」
佐藤くんの喉が大きく上下した。
私は仕上げとばかりに、背中に手を回してブラジャーのホックを外した。
腕を抜く際、わざと胸を揺らすように肩をすくめ、髪をサイドに流して、無防備な横顔を晒す。
「……見てていいよ。佐藤くんに見られるの、嫌いじゃないから」
最後に、薄い布切れを足元へ滑り落ちさせた。
一糸纏わぬサキュバスの肉体。月の光のような白い肌と、魔性の曲線。
私は彼と一瞬だけ視線を合わせ、吸い込まれるような微笑みを浮かべた後、くるりと背を向けてバスルームのドアに手をかけた。
「あ、佐藤くん。バスタオル、後で持ってきてね。……よろしくね♪」
扉が閉まる直前、ウィンクを一つ。
脱ぎ捨てられた服と、あまりにも鮮烈な残像だけを残して、私は蒸気の向こう側へと姿を消した。
(さて、シャワーを浴びている間、彼はリビングでどれだけ悶え苦しむかな? 戻った時の『5点』が、今から楽しみで仕方ないよ)
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温かなシャワーを浴びながら、私は立ち上る湯気の中でこれからの計画を練っていた。
(……それにしても、まさか自分がサキュバスの体で男を誘惑することになるなんてな。前世の俺が見たら、腰を抜かして泡を吹くだろうよ。でも、案外悪くない感覚だ。この体は、男の視線を浴びるだけで、指先まで魔力が満ちていくのがわかる。まるで全身が最高級のセンサーになったみたいだ)
シャワーヘッドから降り注ぐ水滴が、しなやかな肌の上を弾け、完璧な曲線をなぞって床へと落ちていく。
(目標は100点。佐藤くんで5点だろ? まあ、イケメン御曹司への『お詫び転生』を勝ち取るためのバイトだと思えば、安いもんだな。)
ふっと、鏡に映った自分を見つめる。
水滴に濡れたまつ毛、上気した頬、そして自分でも見惚れるほど完成された肉体。この「器」に魂が馴染めば馴染むほど、かつての「俺」の記憶が、どこか遠い物語のように思えてくるのが少しだけ怖かった。
(まあ、今は目の前の『食事』を完遂させるのが先決だ。佐藤くん、リビングで相当焦らされてるだろうしな)
シャワーを止め、私は軽く体を拭くと、脱衣所に用意されていた真新しいバスタオルを手に取った。
ふかふかのタオルを胸の高い位置で巻き、大きな胸をわざと強調するように少しきつめに結ぶ。ジーパンで隠れていた太ももは、今はバスタオルの裾から大胆に露出している。
私はゆっくりと、湯気の残るバスルームのドアを細く開け、顔を覗かせた。
「……佐藤くん? バスタオル、ありがとう。ちゃんと置いておいてくれたんだね」
リビングの方を見ると、そこにはソファに座り直し、膝の上で拳を固く握りしめた佐藤くんがいた。彼はドアが開く音に弾かれたように顔を上げ、私を見た瞬間に再び息を呑んだ。
シャワー上がり特有の、瑞々しく火照った肌。髪の先から滴る水滴が、鎖骨のくぼみを伝ってタオルの隙間へと消えていく。その光景は、服を脱いでいた時よりもずっと生々しく、彼の「独占欲」を刺激したはずだ。
「……あ、ああ。……その、もう、大丈夫? 寒くない?」
彼の声は、もはや掠れすぎていて、言葉を紡ぐのがやっとという様子だった。私はその様子に満足しながら、少しだけ困ったような、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「うん、あったまったよ。……でも、背中がうまく拭けなくて。……ねぇ、佐藤くん。ちょっと、手伝ってくれない?」
私はバスタオルを片手で押さえながら、無防備な背中を見せるようにして、彼を手招きした。誘いの言葉と共に、室内のフェロモン濃度を再び、極限まで引き上げていく。
(さあ、佐藤くん。最後の仕上げだ。君の『5点』、最高の状態でいただくよ)
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背中を向けて待つ私の耳に、佐藤くんがソファから立ち上がる衣擦れの音が聞こえた。一歩、また一歩と、彼がこちらへ近づいてくる気配が、脱衣所の狭い空間に張り詰めていく。
「……いいよ。拭いてあげる」
背後から聞こえた彼の声は、低く、低音の振動が私の背中を直接震わせるようだった。
佐藤くんの大きな手が、バスタタオルの上から私の肩に触れる。彼の手は信じられないほど熱く、そして小さく震えていた。
(……人間の男の手って、こんなにゴツゴツしてて、熱かったっけ。前世の俺も、女の子の肌に触れる時はこんな風に緊張してたのかな。……なんだか不思議な気分だ)
そんな感傷を嘲笑うかのように、サキュバスの肉体は過敏に反応する。彼の指先が触れた場所から、電流のような快感が走り、私の腰が自然とくねりを上げた。
「ん……っ、佐藤くん、そこ……くすぐったい、よ」
私がバスタオルを胸元で抑えたまま、少しだけ振り返って上目遣いで彼を見ると、佐藤くんの瞳は完全に獣のそれになっていた。彼はタオルで私の背中の水滴を拭うフリをしながら、徐々にその距離を詰めてくる。
「……もう、無理だ。拭くなんて、そんなのどうでもいい……!」
佐藤くんはタオルを床へ放り出すと、私の背中を後ろから抱きすくめた。
私の豊かな胸が、バスタオル越しに彼の厚い胸板へと押し潰される。彼の荒い呼吸がうなじに触れ、首筋に何度も熱い唇が落とされた。
「ああ、いい匂いがする……。シャンプーの匂いだけじゃない、君の、甘い匂いだ……」
(ふふ、それはシャンプーじゃなくて、私のフェロモン。君を骨の髄まで狂わせる、悪魔の毒だよ)
私は心の奥で冷徹にそう呟きながらも、彼の腕の中で心地よさそうに身を委ねた。
佐藤くんの両手が、私の腰のラインをなぞり、バスタオルの結び目に指をかける。ゆっくりと、だが拒絶を許さない力強さで、その結び目が解かれていく。
ハラリ、と床に落ちる白いタオル。
鏡に映る私たちは、あまりにも対照的だった。服を着たまま狂おしく私を求める人間の青年と、その愛撫を極上のデザートを味わうかのような表情で受け入れている、一糸纏わぬサキュバスの私。
「佐藤くん……。私を、どうしたいの……?」
「君の全部が欲しい。僕のものになって……、ねえ、お願いだから……!」
彼は私を正面から抱き上げると、今度こそリビングのベッド――あるいはソファへと私を運ぼうと足を進めた。
その瞬間、私の中に眠る魔力の核(コア)が、カチリと音を立てて激しく回転を始めた。彼の体から立ち上る、最も濃厚で、最も純粋な「愛欲の生気」が、目に見えない奔流となって私の中へと流れ込んでくる。
(満たされる……! これが、サキュバスの悦び……!)
かつての男としての理性が、快楽の波にぷかぷかと浮きながら、どこか遠くで囁く。
――なぁ神様。イケメン御曹司への転生も魅力的だけど、この『悪魔のバイト』、思った以上に悪くないかもしれないな。
私は佐藤くんの首に両腕を絡め、彼を破滅的な快楽の奈落へと引きずり込むべく、その唇に自ら深く口づけを交わした。
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佐藤くんの腕に抱えられたまま、私はリビングのベッドへと押し倒された。
シーツに沈み込むと同時に、彼は覆いかぶさるようにして、貪欲に私の肌を求め始める。その手つきは乱暴で、余裕の欠片もない。まさに理性を完全に手放した「野生の獣」そのものだった。
「あ、うそ……待って、佐藤くん、そんな……っ」
私は顔を真っ赤に染め、怯えるように両手で自分の胸元を隠した。
視線を激しく彷徨わせ、呼吸を浅くする。まるで初めて男の情欲に触れてパニックを起こしている「生娘」のように、健気で可憐な抵抗の演技を完璧に作ってみせた。
「ごめん……本当にごめん、でも、もう止められないんだ……!」
彼は獣のような唸り声を上げ、私の細い手首を掴んでベッドに固定した。完全に私を支配したと思い込んでいる男の顔。その剥き出しの征服欲が、さらに彼の生気を限界まで昂ぶらせていく。
(……ふふ、いいよ、その顔。最高にそそる。男って本当に単純だな。ちょっと怯えて、弱そうな素振りを見せるだけで、自分が世界の支配者になったみたいに錯覚するんだから)
か弱い生娘を演じる私の内心は、信じられないほど冷静で、そして圧倒的な「余裕」に満ちていた。
佐藤くんの熱い唇が、私の鎖骨、そしてニットから解放された大きな胸へと容赦なく吸い付く。激しい愛撫が体に刻まれるたび、私のサキュバスとしての肉体は、極上のスパにでも浸かっているかのような深い快楽に包まれていた。
「ん、ぁ……っ! だめ、そんなところ……、変になっちゃう……っ」
悲鳴のような可愛い声を漏らしながら、私はわざと腰を小さく跳ね上げ、彼をさらに挑発する。
(痛くも痒くもないどころか、気持ちよすぎてとろけちゃいそうだ。前世の男だった頃の俺なら『野郎の相手なんて最悪だ』って脳内で大騒ぎしてただろうけど、今の俺はサキュバス。この獰猛な愛撫こそが、私にとっての『最高のフルコース』なんだよね)
佐藤くんが夢中で私の体を貪るにつれて、彼の肌から発せられる濃厚な生気が、目に見えない光の粒子となって私の毛穴から体内へぐんぐんと吸収されていく。
空腹だった魔力の器が、極上の蜜で満たされていくような圧倒的な充足感。
「ああ……君の中に、入らせて……。僕を、一つにして……!」
汗を輝かせ、完全に我を忘れて懇願してくる佐藤くん。
私は潤んだ瞳で彼を見つめ返し、涙を浮かべながら、小さく、小さく頷いてみせた。
「……うん。痛く、しないでね……? 佐藤くん……っ」
どこまでも「従順な獲物」のフリをしながら、私は心の中で冷酷に、そして淫らに笑っていた。
(さあ、極上の食事のメインディッシュだ。佐藤くん、君の若くて瑞々しいエネルギー、一滴も残さず私の血肉にしてあげる。まずは最初の5点、たっぷり味あわせてね――?)
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ベッドのシーツに背中を預けた私を、佐藤くんは戸惑いと情熱の入り混じった目で見つめていた。彼の呼吸は荒いが、その指先はどこか優しく、私を傷つけないようにという配慮が感じられる。
「怖がらせて、ごめん。でも、君を……本当に大切にするから」
彼は手慣れている感じではなかった。女性の扱いが百戦錬磨というわけではない。けれど、決して下手ではなかった。私の体の反応を一つ一つ確かめるように、丁寧に、かつ確実に私を求めてくる。その一挙手一投足に、ただの独りよがりのエッチではなく、まずは「目の前の女性を満足させてあげたい」という誠実な思いと、彼なりのテクニックが見え隠れしていた。
ゆっくりと、私たちの境界線が溶け合っていく。
彼が私の体へと滑り込んできた、その瞬間。
「……っ、はぅっ……!」
私は大きく背中を反らせ、爪を彼の背中に立てながら、これ以上ないほど可憐な喘ぎ声を漏らしてあげた。
(……あ、これ、本気でやばい。演技で声を出したつもりが、体の芯が熱くて、半分以上は本音が漏れた。何これ、人間の男の体って、サキュバスの肉体と合わさるとこんなに極上の刺激になるわけ!?)
私の中に侵入してきた彼の熱。男だった頃の記憶なんて、その圧倒的な快感の奔流の前に、一瞬で消し飛びそうになる。
「大丈夫……? 痛かった、よね……?」
佐藤くんは動きを止め、心配そうに私の顔を覗き込んできた。その優しさが、サキュバスとしての私のサディスティックな本能をさらに刺激する。
「ううん……、痛くない、よ。佐藤くんのが、あったかくて……私、どうにかなりそう……っ」
私は彼を安心させるように、潤んだ瞳で微笑み、ジーパンから解放されたしなやかな脚を彼の腰に絡めた。そして、体内のフェロモンの出力を、ついに100%へと解放した。
ドクン、と部屋の空気が跳ね上がった。
「あ……、あ、ああ……っ!」
その瞬間、佐藤くんの目の色が完全に変わった。私の体から放たれた極大のフェロモンが、彼の脳内に残っていた「優しさ」や「理性のブレーキ」を完全に焼き切ったのだ。
「佐藤くん……? あっ、んあぁっ!?」
それまでの丁寧な動きが嘘のように、彼は豹変した。
腰を叩きつけるような、激しく、容赦のない衝動的なピストン。私の大きな胸が激しく揺れ、ベッドがギシギシと悲鳴を上げる。
「もう……無理だ! 綺麗すぎて、気持ちよすぎて……っ、頭がおかしくなる! 君を、僕のものに……壊れるまで、僕の全部をぶつけさせてくれ……っ!」
「あぁっ、んっ、は、激しっ……! さと、佐藤くん、すご、すごいよぉっ!」
牙を剥いた獣のような彼の猛りに、私は翻弄される生娘を演じて悲鳴を上げ続けた。……だが、私の内側は、底なしの愉悦に打ち震えていた。
(ひゃはは! そう、それでいい! 理性なんて全部捨てて、その瑞々しい命のエネルギーを全部私に注ぎ込みなよ! ほら、どんどん私の魔力に変わっていくのがわかる……!)
激しくぶつかり合うたびに、佐藤くんの体から目に見えない「生気の結晶」が、私の肉体へと急速に吸い上げられていく。
「好きだ……! 好きだ、君が欲しい……っ、ああぁっ!」
「私も……、佐藤くんの、ぜんぶ、だいすき……っ! もっと、奥まで、ちょーだい……っ!」
狂乱のピストンが続く中、私は彼の背中にしがみつき、彼を快楽の絶頂という名の底なし沼へ、さらに深く、深く沈めていった。
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「……はぁ、はぁ、……っ!」
どれほど激しく突き動かされただろうか。佐藤くんはひときわ大きく身体を震わせると、私の胸元に顔を埋めて、熱い吐息とともに一回目の絶頂を迎えた。
彼の内側から、濃厚な生気の塊がドクドクと私の中へ注ぎ込まれていくのが分かる。
(……ふぅ、ごちそうさまでした。これでまずは5点獲得だな。神様、見てるか?)
脳内で勝利の鐘を鳴らし、私は「生娘」の演技を解いて、彼の背中を優しく撫でてあげようとした。……だが、何かがおかしい。
佐藤くんは私の体に乗っかったまま、一向に離れようとしないのだ。それどころか、私の中に収まったままの「それ」は、一度果てたはずなのに、萎びるどころかさらに熱を帯び、パツパツに膨れ上がっている。
「……あれ? 佐藤くん……っ?」
「はぁ、……おかしいんだ。一回いったのに、全然おさまらない……。君の体が、僕を離してくれないんだ……っ!」
佐藤くんの目は、まだとろけたままだ。
どうやら、私が無意識に垂れ流し続けているサキュバスのフェロモンが、彼の男としての限界を無理やり突破させてしまっているらしい。これじゃあ、こちらから「おかわり」をねだる必要すら全くないな。
「……んぁっ!?」
彼が再び、挿入した状態のままで激しく腰を動かし始めた。まさかの2回戦突入だ。
「あ、あぁっ! すご、また、大きくなって……っ、んんっ!」
野生の獣に戻った佐藤くんに穿たれながら、俺は心の中で信じられない衝撃に打ち震えていた。
(おいおい、マジかよ……! 俺、さっきから何回絶頂を迎えてる!?)
男だった頃の感覚なら、一度いけばそれで終わりで、賢者タイムが来るはずだった。だが、今の俺はサキュバスだ。佐藤くんが激しく攻めてくるたびに、俺のこの新しい体は、簡単に、何度も何度も快楽の頂点へと引きずり上げられる。
しかも、不思議な感覚があった。
普通ならこれだけ激しくされれば、体力が削られて疲弊していくはずだ。なのに、俺が行く(絶頂を迎える)たびに、全身の細胞がパチパチと弾けるように活性化していく。
(……いや、これ、調子が良くなってる!?)
そう、行くたびに、神様に全回復してもらったはずの体が、さらに軽く、エネルギーに満ち溢れていくのが分かるのだ。肌のツヤが増し、体内の魔力の巡りが急速に鋭くなっていく。男の生気を吸い上げ、それを自分自身の快楽のエネルギーとして還元する――これこそがサキュバスの肉体の真骨頂であり、本能的な「成長」のシステムなんだ。
「ああぁっ! 君、すごすぎるよ……っ、僕、吸い尽くされちゃう、のに、気持ちよすぎてやめられない……っ!」
「は、はぁっ、んあぁっ! いいよ、佐藤くん、もっと……もっと俺を……私を、めちゃくちゃにして……っ!」
快楽の波に溺れながら、俺は危うく一人称を「俺」と叫びそうになり、慌てて可愛い声で誤魔化した。
けれど、内心の俺は大爆笑していた。
(ひゃははは! 最高だなおい! 人間に戻るためのポイント稼ぎのつもりだったけど、このサキュバスの体、極上すぎる! 佐藤くん、悪いけど明日の朝まで帰さないからな。君の生気、全部俺の栄養にしちゃうんだから!)
エンドレスで続く快楽の狂宴の中、俺はサキュバスとしての本当の覚醒を感じながら、青年のすべてを貪り尽くすように腰を絡めていった。
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「はぁ、はぁ……っ、もう、本当に……一歩も動けない……」
深夜から明け方にかけた何回戦目だったか、佐藤くんはついに限界を迎え、真っ白な灰のようになって仰向けにベッドへ倒れ込んだ。
全身汗だくで、胸を激しく上下させている。その体からは、もう湯気が出るんじゃないかってくらいの熱気と、出し尽くした男の気配が漂っていた。
「ふふ、佐藤くん、お疲れ様。すっごく気持ちよかったよ?」
俺はシーツの上に這い上がり、彼の横顔に優しくキスをした。
普通の人間の女性なら、ここで一緒に添い寝して終わりだろう。だが、俺のサキュバスの体は、まだまだ「お腹ペコペコ」だと叫んでいた。何回も絶頂を迎えたおかげで、今の俺は疲れを知るどころか、エネルギーが満ち溢れて肌なんてツヤツヤだ。
俺は視線を下げ、彼の股間へと這い寄った。
そこにある男の象徴を見つめながら、俺はふと思った。
(前世の『俺』なら、野郎のこんなものを見るだけで顔を背けてただろうな。ましてや、触るなんて絶対にあり得ない。……なのに、どうしてだろうな。不思議と、これっぽっちも嫌悪感がないんだ)
それどころか、果実のシロップか何かが溢れているように、甘くて美味しそうにさえ見える。これが、魂までサキュバスの肉体に染まりつつあるってことなのか。
「ねぇ、佐藤くん。まだ、終わりじゃないよ?」
「え……? あ、あぐ……っ!?」
俺がペロリとそこを舌で舐め上げると、佐藤くんの体がビクッと跳ね上がった。
彼の限界を超えたはずのペニスが、俺の唾液とサキュバスの魔力に刺激され、まるで魔法にかけられたように、再びドクンドクンと大きく、硬く反り立ち始める。フェロモンの効果は本当に絶大だ。
「嘘だろ……、まだ、大きくなるなんて……。君は、本当に、何者なんだ……?」
恐怖と快楽が混ざり合った目で俺を見上げる佐藤くん。その弱り切った表情が、たまらなくサディスティックな欲求をそそる。
「何者でもいいじゃない。佐藤くんのここ、すっごく正直だよ? ほら、こんなにカチカチになって、私を待ってる」
俺はふふっと妖艶に笑うと、彼の体をまたぐようにして、その上に跨がった。いわゆる「騎乗位」の体勢だ。
タイトなジーパンを脱ぎ捨てた俺の、形自慢のお尻が、彼の太ももの上でゆっくりと動く。大きな胸が重力で揺れ、彼の視線を釘付けにした。
「ひぁ……っ、あ、あそこに、君のそれが……」
「佐藤くんが動けないなら、今度は私が動いてあげる。……いいよね?」
俺は彼の上に腰を落とす直前、わざとうっとりとした表情で、彼の耳元に顔を寄せた。
「佐藤くんの全部、私の体の中にちょうだい。……もっと、おねだりしてみて?」
「く、君の……君の好きにしてくれ……っ、もう、どうにでもして……っ!」
諦めと狂おしいほどの快楽に身を委ねた青年の叫びを聞きながら、俺はゆっくりと、自分の身体で彼のペニスを迎え入れた。
(あはは、最高! 動けない男を上から攻めるのって、こんなに支配感があって気持ちいいんだな! さあ、残りの生気も全部、俺が美味しく吸い尽くしてあげるよ!)
朝の光が薄暗い部屋に差し込み始める中、俺が主導権を握る、終わらない快楽のステージが幕を開けた。
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自分の意思で、ゆっくりと腰を沈めていく。
佐藤くんの熱い質量が、俺の身体の奥深くを容赦なく押し広げていく感覚。その圧倒的な存在感に、俺の口からは「はぁ、ぁっ!」と、熱い吐息が溢れ出た。
(やべえ。上から攻めるのって、ダイレクトに脳に響く。自分で締め付けの強さも、深さも、全部コントロールできちまうんだな)
完全に結合した状態で一度静止し、俺は佐藤くんの顔を見下ろした。
彼はベッドに沈んだまま、限界まで目を見開き、俺の豊かな胸が上下する様と、そこから繋がるくびれたウエスト、そして自分を包み込んでいる腰の動きを、ただただ呆然と見つめていた。
「どう? 佐藤くん、すごく、きついよ……っ」
「あ、ああっ。信じられない、動けないのに、さっきよりも……何倍も、感じ、る!」
「ふふ、じゃあ……動くね」
俺は彼の胸板に両手を突き、今度はジーパンから解放された自慢のお尻を、円を描くようにゆっくりと揺らし始めた。
サキュバスの肉体が持つ完璧な柔軟性と、男を狂わせる構造が、佐藤くんのアソコを容赦なく締め上げる。
「ひ、あぁぁっ!? それ、は、だめ……っ、すぐ、いっちゃ、う……!」
彼は声を裏返らせて身悶えした。仰向けの彼は、俺の動きにただ翻弄されるしかない。この圧倒的な「支配感」。かつて男だった頃には絶対に味わえなかった、背徳的で強烈な快感が、俺の背筋をゾクゾクと駆け上がっていく。
(おもしろいほど、こいつの生命力が俺の中に流れ込んでくるのがわかる。呼吸を合わせるたびに、触れ合っている場所から、甘くて濃い『生気』が、俺の魔力の器にチャージされていくんだ)
退治されたばかりでカラカラだったはずの俺の身体は、今や佐藤くんのおかげで、極上のエネルギーで満ち満ちていた。行くたびにコンディションが良くなる肉体は、さらに感度を増し、俺自身の理性を狂わせていく。
「あ、んっ! ふあぁっ、すごい……佐藤くんの、おっきいのが、奥まで、ガツガツ当たってっ、俺、あ、私、また、いっちゃう……っ!」
激しく腰を上下させながら、俺は本気で声を上げ続けた。もう演技なんて半分以上どうでもよくなっていた。気持ちよすぎる。このサキュバスの体で絶頂を迎える瞬間は、脳のヒューズが全部吹き飛ぶほどの快楽だ。
「君が……君が、僕の魂を、削っていくみたいだ。でも、もっと……もっと動いてくれっ!」
「いいよっ、佐藤くんが、空っぽになるまで、ぜんぶ、私が、搾り取ってあげるっ!」
朝の太陽が完全に昇り、カーテンの隙間から部屋を白く照らし始める。
その光の中で、俺は汗を輝かせながら、哀れな獲物である佐藤くんの上で、何度も何度も激しく腰を振り続けた。脳内では、確実に『5点』のノルマが達成され、さらにその枠を超えて俺の魔力へと変換されていく快音が、心地よく響き渡っていた。
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「じゃあね、佐藤くん。おやすみなさい」
完全に真っ白な灰となり、泥のように眠る佐藤くんの額にリップ音を一つ残し、俺は静かに高級マンションの部屋を後にした。
オートロックの重厚なドアを抜けて外に出ると、朝のひんやりとした空気が肌を撫でた。時刻は午前6時過ぎ。
街はすでに、通勤・通学のために動き出そうとしている。
(いやぁ、それにしても体が軽いな!)
普通なら一晩中激しく動き回れば、足腰はガクガク、頭はボーッとするはずだ。
だが、今の俺は違った。
佐藤くんから搾り取った濃厚な精力のおかげで、体力も精神的にもお釣りがくるレベルでみなぎっている。肌のハリも、髪のツヤも、シャワーを浴びる前より確実にパワーアップしていた。
サキュバスの食事効率、恐るべし。
神様からのノルマは合計100点。佐藤くんでまずは堅実に「5点」を獲得したはずだ。
人間に戻るためには、あと95点。
(さて、エネルギーも満タンだし、次のターゲットを仕留めに行きますか。この朝の時間帯、どんな姿に変身して、どういうシチュエーションで攻めるのが一番効率がいいかな……)
俺は歩きながら、朝の風景に溶け込む様々な「獲物狩り」のシナリオを頭の中で描き始めた。
プラン①:王道の清純派「女子高生」シチュエーション
これから始まる朝の通勤ラッシュ。これを利用しない手はない。
紺のプリーツスカートにローファー、少し崩したカーディガンを羽織った「現役女子高生」に変身する。ターゲットは同じ車両に乗る、いかにも真面目そうなサラリーマンか、あるいは正義感の強そうな男子学生だ。
(満員電車の混雑に乗じて、わざとらしく他の『おじさん』に密着されているフリをする。
困り果てた顔で涙目になりながら、近くのターゲットの袖をぎゅっと掴むんだ。『……あの、助けてください……っ』って。
見事、次の駅で一緒に降りて助けてもらったら、怯えた様子で手を握る。
『お礼をしたいんですけど、持ち合わせがなくて……。でも、お兄さんのこと、もっと近くで知りたいな、なんて……』
そのまま駅裏のホテルへ直行。吊り橋効果でバクバク言ってる男の心臓を、そのまま快楽で破裂させてやる。これは間違いなく5点だ)
プラン②:庇護欲をそそる「新入社員風OL」シチュエーション
オフィス街へと向かう道すがら、これもまた男のロマンを刺激する設定だ。
タイトスカートに白いブラウス、まだ着慣れないスーツを身に纏った「新入社員」の姿。髪はハーフアップにして、初々しさを演出する。
(駅の階段や交差点で、わざと『あっ!』と声を上げてよろける。
見ると、ハイヒールの踵がポッキリ折れている。
困り果てて、半泣きで路頭に迷っているところに、通りがかった親切なビジネスマンが声をかけてくる。
『大丈夫ですか? 歩けますか?』
『あ、あの……今日、大切な研修があるのに……どうしよう……っ』
なんて足をさすりながら、ストッキング越しに形のいいふくらはぎを見せつける。男が『近くの靴屋まで送りましょうか』なんて言ってきたら作戦成功。
『本当にありがとうございます……! あの、お礼に今夜、私を奢らせてください……ううん、お礼、それだけじゃ足りないかも……』
大人の色気と健気さのギャップで、エリートサラリーマンの理性を一撃で粉砕する。これも美味しい5点だな)
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プラン③:隙だらけの「女子大生」でカフェのナンパ待ち
朝のバタバタしたシチュエーションが面倒なら、少し落ち着いた大学街のカフェを狙うのも手だ。
ちょっと眠そうな、ゆるふわなニット姿の女子大生に変身。大きめのメガネなんかをかけて、テラス席でノートPCや参考書を広げておく。
(学生や若い人が多いカフェで、わざと『隙』を晒して座る。
脚を組み替えるたびに、短いボトムスから覗く太ももをチラつかせたり、ストローを咥える唇をこれでもかとセクシーに見せつけたり。
フェロモンを薄く店内に漂わせておけば、必ず『隣、いいですか?』とか『何勉強してるの?』って声をかけてくる血気盛んな男がいるはずだ。
『あ、えっと……ちょっと難しくて。お兄さん、頭良さそうだから、教えてくれたりしないかなぁ? ……場所、ここじゃ集中できないから、静かなところがいいな』
向こうからアプローチしてきた形にすれば、主導権は完全にこっちのもの。そのままお持ち帰りさせて、一気に吸い尽くす)
「うーん、どれも捨てがたいなぁ……」
思わず声に出して呟いてしまう。
男だった頃の知識があるからこそ、「男がどんなシチュエーションに弱く、どんな罠に自ら飛び込んでくるか」が手に取るようにわかる。
サキュバスの能力と前世の記憶のシナジーは、控えめに言っても最強最悪の組み合わせだった。
朝日がビル群を黄金色に染めていく。
俺はふふっと不敵な笑みを浮かべると、人気の無い路地裏へと滑り込んだ。
(よし、まずは……あのシチュエーションから試してみるか!)
全身を柔らかな魔力の光が包み込み、俺の肉体は、次の獲物を確実にハメるための「新しい仮面」へと形を変えていった。
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(よし、プラン①で行くか!)
俺は薄暗い路地裏の奥で、自身の体に眠る魔力を指先まで巡らせた。
頭の中で思い描くのは、どこか幼さを残しながらも、男の「守ってあげたい欲」を最悪な形で刺激する最強の黒髪女子高生。
ふっと体が熱くなったかと思うと、一瞬で衣服が作り変えられ、肉体の質量が変化していく。
栗色のウェーブヘアはサラサラの黒髪ストレートになり、肩のあたりで綺麗に切り揃えられた。大きな胸は制服のブレザーの下で少し控えめ(と言っても、一般的な女子高生にしてはかなり主張が激しいが)に収まり、タイトだったジーパンは、しなやかな生脚を覗かせる紺のプリーツスカートへと変わる。
手鏡代わりにスマートフォンの画面を見ると、そこには涙目が世界一似合いそうな、庇護欲の塊みたいな美少女が映っていた。
(完璧。これに引っかからない男がいたら、そいつは聖人か何かだろ)
俺はローファーの踵を小さく鳴らし、通勤・通学客がドッと押し寄せている最寄りの駅へと向かった。
時刻は午前7時半。ホームは文字通り、地獄の満員電車を待つ人々で溢れ返っている。
まもなく滑り込んできた電車のドアが開くと同時に、押し出される人と乗り込む人の波に紛れ、俺は車内へと滑り込んだ。
車内は息が詰まるほどの過密状態だ。腕を動かすことすら難しい。
俺はつり革に掴まるフリをしながら、周囲の「獲物」を品定めした。
(さて、誰にしようかな……。あ、あいつなんて最高じゃん)
俺の斜め前に立っていたのは、いかにも育ちの良さそうな、ブレザー姿の男子学生だった。背が高く、シュッとした顔立ち。カバンを律儀に前に抱え、真面目そうな目でスマホを見つめている。彼の周囲からは、まだ女性に免疫がなさそうな、青臭くも瑞々しい生気が漂っていた。
(ターゲット補足。よし、作戦開始だ)
俺は満員電車の揺れを口実に、わざと自分の背中を、近くにいた全く無関係のサラリーマンのおじさんの胸元へと押し付けた。もちろん、そのおじさんはただ押しつぶされているだけなのだが、俺はさも「痴漢に遭って困惑している」かのような演技を開始する。
眉をハの字に曲げ、唇を小さく震わせる。そして、わざとらしく呼吸を荒くして、怯えたように体を硬直させた。
そして、電車の大きな揺れと共に、俺は男子学生の方へとよろめいた。
確信犯的に、彼の制服の「袖」を、細い指先でぎゅっと掴む。
「……っ、あの……っ」
男子学生がビクッとしてスマホから顔を上げ、俺を見下ろした。
俺は潤んだ瞳で彼をじっと見つめ、消え入りそうな声で囁いた。
「……あの、助けて、ください……。後ろの人が、ずっと……っ」
その瞬間、男子学生の顔がカッと赤くなり、次の瞬間には正義感に燃える男の顔へと変わった。彼の心臓が「ドクン!」と大きく跳ね上がる音が、サキュバスの耳にはっきりと聞こえた。
「えっ……あ、はい! こっちに来てください!」
彼は男らしい手つきで俺の肩を抱き寄せ、自分の体で俺を背後のサラリーマンから庇うように壁を作ってくれた。
彼の胸板に俺の顔が埋まる。密着した体から、彼のウブな興奮と緊張が、最高の隠し味となって俺の中に流れ込んできた。
(ひゃはは! 釣れた釣れた! 予定通りすぎて笑いが止まらん。さあ、次の駅で一緒に降りて、そこからが本当の地獄(天国)の始まりだよ、お兄さん?)
俺は彼の胸に顔を埋めたまま、心の中で邪悪にペロリと舌を出した。
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「……次の駅で、僕と一緒に降りましょう」
彼は緊張で声を震わせながらも、男らしく俺の手を引いてくれた。プシューとドアが開いた瞬間、彼にエスコートされるようにして、人の波をかき分けホームへと降り立つ。
ホームのベンチの陰に移動すると、彼は「もう大丈夫ですよ」と安心させるように微笑んだ。
「あ、あの……本当にありがとうございました。怖くて、どうしたらいいか分からなくて……っ」
俺はプリーツスカートの裾をぎゅっと握りしめ、上目遣いで彼を見上げた。涙目で怯える美少女(中身はサキュバス)の演技に、男子高校生くんの心臓はバックバクだ。
「いや、気にしないで。当然のことをしただけだから。……あ、体、大丈夫? 喉とか乾いてない?」
ほら来た、優しいねお兄さん。
「はい。ちょっとビックリしちゃって。……あの、もしよかったら、あそこのコンビニで何かお礼させてください」
「えっ、お礼なんていいよ! じゃあ……その、お言葉に甘えて、ジュースくらいなら」
駅の売店兼コンビニに2人で入る。俺は可愛くパックのいちごオレを選んだ。
彼の方を見ると、少しでも俺の前で大人っぽく見せたいのか、背伸びをして缶のブラックコーヒーを手に取っていた。
「僕、朝はいつもこれなんだよね」なんて、苦そうな顔を微塵も見せずにスカした顔で言っている。可愛すぎるだろ、おい。
お会計を済ませてコンビニを出たところで、俺は仕掛けることにした。
「本当にありがとうございました。……お礼、ジュースだけじゃ、全然足りないな」
俺は彼の制服の袖を再び引き、すっと距離を詰めた。朝の駅の喧騒の中で、俺から放たれる甘いフェロモンが彼を包み込む。
「私、お兄さんのこと、もっと近くで知りたいな……なんて。この後、学校、サボっちゃおっか?」
「えっ……!? そ、それって……」
彼のブラックコーヒーを持つ手がガタガタと震え出す。男の脳内に、一気に「駅裏のホテル」という選択肢が浮かんだのが分かった。サキュバスの勘が、彼の理性が消し飛ぶ音を捉える。
――が、ここで一つ、重大な問題に気がついた。
(あ、クソ。俺たち2人とも、ガッツリ制服姿じゃん)
時間はまだ朝の8時前。この時間に制服姿の男女が並んでラブホテルに入ろうものなら、一発で補導されるか、フロントで門前払いだ。変身を解いて大人になれば俺だけは入れるが、彼が制服のままじゃどのみちアウトである。
「うーん……どうしよう。ホテル行きたいけど、この格好じゃ絶対入れないよね……」
俺が困ったように唇を尖らせると、彼は顔を真っ赤にして「ほ、ホテル!?」と裏返った声をあげた。完全にパニックになっているが、その股間は朝の元気さも手伝って、制服のズボンを押し上げるほどに主張を始めている。
「でも、僕……もう我慢できそうにない、よ。君が、そんな可愛い顔で誘うから……」
大人ぶっていたメッキが完全に剥がれ、野生の目になった彼が、俺の細い手首を掴んだ。この溢れんばかりの瑞々しい生気、逃す手はない。
「それじゃあ、仕方ないね」
俺は彼の耳元にそっと唇を寄せ、吐息を吹きかけた。
「あそこの、駅の多目的トイレ。……一緒に入ろ? 鍵、ちゃんとかければ、誰にも見つからないよ……♪」
確信犯的な笑みを浮かべ、俺はパニックと興奮で破裂寸前の男子高校生の手を引き、駅の奥へと歩き出した。
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自動ドアが静かに閉まり、カチャリと内側から鍵を閉める。
狭い多目的トイレの中に、私たちの荒い息遣いと、駅のホームを流れるアナウンスのくぐもった音が響いていた。
「本当に、入っちゃった。どうしよう、僕、こんなこと……」
男子高校生くんは、壁に背中を預けたまま、ブラックコーヒーの缶を握りしめて立ち尽くしている。彼の顔は耳の裏まで真っ赤で、心臓の鼓動が衣服越しに視覚で分かりそうなほど激しく波打っていた。
「どうしよう、って……もうここに入っちゃったら、後戻りはできないよ?」
俺は持っていたいちごオレを棚に置くと、一歩、また一歩と彼との距離を詰めた。
狭い空間の中で、サキュバスのフェロモンが濃密に充満していく。彼が息を吸い込むたびに、俺の甘い毒が彼の脳の防衛線をじわじわと溶かしていくのが分かった。
「き、君が、悪いんだからね。こんな、可愛い顔して、僕をからかってっ」
「からかってないよ。ほら、触ってみて? 私、すごくドキドキしてる」
俺は彼の大きな手を自分の制服の胸元へと導いた。
ブレザー越しでもはっきりと伝わる、俺の柔らかさと高鳴る鼓動。その瞬間、彼の瞳から最後の理性がぷつりと切れる音が聞こえた。
「ああっ、もう、ダメ!」
ガサリと、彼が抱えていた通学カバンが床に落ちる。
彼はコーヒー缶を放り出し、狂おしい力で俺の細い肩を掴むと、そのまま背後の壁へと押し付けた。
唇が乱暴に重なる。
佐藤くんの時とはまた違う、若くて、焦れったくて、でもどこか必死な青臭いキスの味。
舌が絡み合うたびに、俺の脳内にはまるで炭酸が弾けるようなシュワシュワとした快感が広がり、背筋を甘い痺れが駆け抜けた。
(うは! キタキタ! このウブな男の子の生気、めちゃくちゃ美味い! 濃厚な佐藤くんのも良かったけど、この『初めての背徳感』が混ざったエネルギーは別格だ!)
「ん、あっ、お兄さん……激しい、よ」
俺はか弱い女子高生を演じながら、わざと小さく喘ぎ、彼の首に腕を絡ませた。プリーツスカートが彼の動きに合わせて不規則に揺れ、太ももが彼の制服のズボンに擦れ合う。
「ごめん、でも……止められない。もっと、もっと君に触りたい……!」
彼は震える手で、俺のブレザーのボタンを外し、白いブラウスの胸元へと手を滑り込ませてきた。
冷たい空気と、彼の熱い手のひらの対比が、俺の肉体をこれ以上ないほど敏感にさせていく。
(ふふ、いいよ。ここなら誰にも邪魔されない。さあ、朝の特別授業を始めようか、お兄さん?)
俺は彼の焦るような愛撫に身を委ね、甘く淫らな声を上げながら、自分でも無意識のうちに、次なる「5点」以上の大収穫を確信して笑みを深めていた。
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「ん、ぁっ! あ、あそこ、すごい……っ! お兄さん、いっちゃ、う……っ!」
狭い多目的トイレの壁に押し付けられたまま、俺はプリーツスカートをたくし上げられ、彼を受け入れていた。
男子高校生くんは、初めて体験する背徳的な快楽に完全に理性を焼き切られ、野生の獣のように激しく腰を叩きつけてくる。
「く、君……っ、もう、ダメだ……! だす、出すよっ!」
「うんっ、いいよ、ぜんぶ中にちょうだい……っ!」
彼がひときわ強く俺の腰を掴み、身体を硬直させた。
ドクドクと、若くて瑞々しい生気の塊が、俺の身体の奥深くへと勢いよく注ぎ込まれていく。
(ふぅー、ごちそうさま! これで確実に5点ゲット、だな!)
彼は荒い息を吐きながら、俺の肩に額を預けてぐったりと体重を預けてきた。
しかし、俺のサキュバスの肉体は、このウブな男の子が放つ極上のエネルギーを吸収して、さらに感度と元気を増していた。
(まだだ……まだ足りない。せっかく補導の危険を冒してまでここに入ったんだ。一回で帰すわけないだろ?)
俺はここで、それまでの「か弱い女子高生」の仮面をガラリと脱ぎ捨てた。
彼の首筋に這わせた指先に少し力を込め、わざとらしく腰をくねらせて、まだ繋がったままの彼のアレをキュッと締め付ける。
「ねぇ、お兄さん……もう終わり? うそでしょ? まだ私の中にいるお兄さん、こんなに熱くて大きいままだよ?」
耳元で囁く声は、完全に男を弄ぶ「痴女」のそれへと変貌していた。
「えっ、あっ!? な、なんで……一回いったのに、またっ」
男子高校生くんは、俺の豹変振りと、体内でうごめく締まりの強さに驚愕して目を見開いた。
サキュバスのフェロモンをこれでもかと浴びせかけられ、彼のペニスは萎びる暇もなく、再びカチカチに膨れ上がっていく。
「ふふ、お兄さんが優しく助けてくれたから、私、すっかりエッチなスイッチが入っちゃった。ねぇ、もっとお兄さんのドロドロなやつ、私に搾り取らせて?」
俺は彼の制服のネクタイを指に絡め、グイッと自分の方へ引き寄せた。
「ほら、ここ、もっと激しく動かしてよぉ……。それとも、動けない? じゃあ、私が動いてあげよっか? ねえ、いいでしょ……?」
上目遣いで甘えた声を出しながらも、腰の動きは挑発的で、淫らに彼を責め立てる。
完全に主導権を握った痴女モードの俺に、男子高校生くんは恐怖すら混じった快楽の表情を浮かべ、再び腰を動かし始めた。
(あはは! 最高! ウブな男の子をこうやって壊していくの、たまんねえな! さあ、学校なんてサボって、朝から俺の栄養になりなよ!)
多目的トイレの閉ざされた空間で、俺の終わらないおねだりと、若き獲物の悲鳴のような喘ぎ声が、何度も何度も木霊し続けた。
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多目的トイレを後にした俺は、名前も知らない男子高校生からたっぷり得た生気のおかげで、ますます肌のツヤと体力が最高潮に達しているのを感じていた。
(男子高校生で+5点……これで累計10点!順調、順調。でも、男ばっかり狙うのもちょっと飽きてきたな)
ふと、自分の滑らかな手や、柔らかく膨らんだ胸に視線を落とす。
(そういえば、サキュバスって男だけじゃなくて、女からもエネルギーを吸い取れるんだよな。サキュバスの力と、前世の男としての視点、これを合わせれば、女の人の『ツボ』や『求めてる言葉』も手に取るようにわかるんじゃないか?)
新しい可能性に気づき、俺の胸は興奮で高鳴った。
次のターゲットは「女性」に決定だ。
朝のオフィス街やカフェ、ショッピングモール周辺へと移動しながら、どんな女性をターゲットにして、どう落とすかシナリオを練り始める。
プラン①:疲れたキャリアウーマンを狙う「妹系カフェ店員」
朝の出勤前、ストレスと寝不足でピリピリしている30代のキャリアウーマン。
オシャレなカフェの新人店員(あるいは可愛らしい後輩)に変身してアプローチする。
(注文を聞くときに、ちょっとドジっこっぽく微笑みながら『いつもお仕事頑張ってますね。これ、私からのサービスです』なんて特別感を演出する。
疲れた心にすっと入り込んで、『私、お姉さんみたいな素敵な人に憧れてて……もしよかったら、今度お仕事の相談に乗ってくれませんか?』って甘える。
プライベートな空間に連れ込んだら、優しくマッサージするフリをしてフェロモンを注入。女同士の秘密のスキンシップから、一気に甘く淫らな世界へ引きずり込む!)
プラン②:孤独な女子大生を狙う「イケメン風の男装・ボーイッシュ女子」
大学のキャンパス近くや図書館。友達グループになじめず、一人でぽつんと過ごしている大人しい女子大生。
今回はあえて「ボーイッシュでかっこいいサキュバス」に変身してみる。
(少しメンズライクな服を着こなした、中性的な美少女。本を落とした彼女に『大丈夫?』と手を差し伸べて助ける。
『君、すごく可愛いのに、なんだか寂しそうな顔してるね』なんて、男だったら警戒されるキザなセリフも、同性のイケメン女子ならスッと受け入れられるはず。
『二人だけの秘密の場所、行こっか』と屋上や個室に誘い出して、耳元で甘く囁きながら落とす)
プラン③:隙だらけの若手人妻を狙う「お困りごとの相談相手」
午前中の住宅街やスーパー。旦那を送り出して少し退屈している若い人妻。
ご近所の可愛らしい女子高生・女子大生風の姿で声をかける。
(『すみません、道に迷っちゃって……』と声をかけたり、重い荷物を一緒に持ってあげたりして接点を作る。
『お姉さん、すごく綺麗だから、大学生かと思っちゃいました!旦那さん羨ましいな』と褒めちぎって距離を縮める。
『実は最近、悩みがあって……ちょっとだけお話聞いてえもらえませんか?』と家に上がり込み、旦那には見せない人妻の素顔と防衛線を、甘いフェロモンでトロトロに溶かして搾り取る!)
「ふふっ……女の人を攻略するのも、違ったスリルがあってめちゃくちゃ楽しそうだな」
路地裏に入り、全身を包む魔力を練り上げる。
男を狂わせるフェロモンとは一味違う、同性すらも魅了する『極上の甘い毒』を身体に満たしていく。
さて、どのシチュエーションで最高の「15点目」をいただきにいこうか――?
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(よし、次はプラン②。ターゲットは『孤独な女子大生』、俺の姿は『イケメン風の男装女子』だ)
俺は路地裏の奥で、再び魔力を練り上げた。
先ほどの小柄で可愛らしい女子高生の姿から、骨格が少しシャープに変わり、身長もスッと伸びる。背中まであった髪はショートウルフに変化し、胸の膨らみはサラシを巻いたように平らに抑え込んだ。
黒のスキニーパンツに、オーバーサイズの白シャツ。襟元を少し開け、シルバーの華奢なネックレスを覗かせる。
スマホの画面に映ったのは、中性的でミステリアスな、いわゆる「王子様系」の美少女だった。
(完璧だ。前世で男だった俺の『理想のイケメンムーブ』と、サキュバスの女としての色気。この二つが合わされば、同性すらも狂わせる最強の兵器になる)
俺は少し低く響くハスキーな声を出す練習を何度かしてから、近くの大学キャンパスへと足を踏み入れた。
時刻は午前9時過ぎ。キャンパス内の図書館前は、1限目の講義に向かう学生たちで賑わっていた。
そんな中、俺のサキュバスのレーダーが、強烈な「孤独」と「承認欲求」の匂いを放つ獲物を捉えた。
大きな木の下のベンチ。分厚い専門書を抱え、周囲の楽しそうなグループから目を逸らすように俯いている、メガネをかけた大人しそうな女子大生。
素材はすごくいいのに、自信のなさで全てを隠してしまっているタイプだ。
(……見つけた。あの子にしよう)
俺は足音を立てずに彼女へ近づいた。
タイミングを測るようにフェロモンを微量だけ放ちながら彼女の横を通り過ぎる。甘く、どこか懐かしいような香りに反応した彼女がビクッと肩を揺らし、その拍子に膝の上の専門書がバサリと地面に落ちた。
「あっ……」
慌てて本を拾おうとする彼女より一瞬早く、俺はしゃがみ込んでその本を拾い上げた。
「……大丈夫? 落としたの、これだよね」
俺は本を差し出しながら、至近距離で彼女の目を真っ直ぐに見つめ、ハスキーな声で優しく微笑んだ。
「あ……えっと、はい。すみません、ありがとうございます……っ」
彼女は顔を上げ、俺の顔を見た瞬間に息を呑んだ。
男とも女ともつかない、中性的で整った顔立ち。至近距離から漂う、思考を麻痺させるような甘い香り。彼女の頬が、みるみるうちに林檎のように赤く染まっていく。
(ふふっ、すごい反応。同性だから警戒心ゼロの状態で、俺の顔面とフェロモンをモロに食らったな)
「分厚い本だね。勉強、頑張ってるんだ」
「え、あ……いえ、その、ただ読んでるだけで……」
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しどろもどろになる彼女の隣に、俺は少しだけ距離を詰めて腰を下ろした。
「君、すごく可愛いのに……なんだか、寂しそうな顔してるね」
前世の男だった頃なら、死んでも言えなかったキザなセリフ。だが、この「イケメン風の同性」という無敵のガワがあれば、その言葉は安いナンパではなく、心に寄り添う魔法の言葉に変わる。
「えっ……か、可愛くないです、私なんか……友達も、いないし……」
「そんなことないよ。俺は、君のことすごく綺麗だなって思ったよ」
俺は自分のことをあえて「俺」と呼び(ボーイッシュ女子のフリとして完璧に機能する!)、彼女の震える手の上に、そっと自分の手を重ねた。
ビクン、と彼女の体が跳ねる。だが、彼女は手を振り払わなかった。
「……こんな人が多いところじゃ、ゆっくり話もできないね。ねえ……二人だけの秘密の場所、行こっか?」
俺は彼女の手を引き、有無を言わせぬリードで立ち上がらせた。
向かったのは、キャンパスの端にある旧校舎の、普段は誰も来ない屋上へ続く階段の踊り場。
重い防火扉が閉まると、そこは完全に外界から遮断された静寂の空間になった。
「あの、秘密の場所って……」
不安と期待が入り交じった上目遣いで俺を見る彼女。
俺は壁際まで彼女をゆっくりと追い詰め、両手で壁ドンをするような形で退路を塞いだ。
「ここなら、誰にも邪魔されないから」
俺は彼女の耳元に顔を寄せ、サキュバスのフェロモンを「同性用」の極甘な成分に切り替えて、彼女の首筋に深く息を吹きかけた。
「ひゃっ……あ、あの……近、いです……っ」
「嫌……? 俺は、君に触れたいんだけど」
「い、嫌じゃ……ない、ですけど……でも、私たち、女同士で……っ」
「女同士だから、いいんだよ。男には絶対わからない、本当の気持ちいいこと……俺が、教えてあげる」
言い終わるか終わらないかのうちに、俺は彼女の唇をそっと塞いだ。
男のガツガツした欲望とは違う、マシュマロのように柔らかくて、どこまでも繊細な唇の感触。
(……うわっ、なんだこれ。女の唇ってこんなに柔らかいのか。それに、彼女から流れ込んでくる生気……男の激しいエネルギーとは全然違う。冷たい水のように澄んでいて、でも奥の方にとてつもない熱を秘めてる……!)
「んっ……ふぁ……ぁっ……」
最初は驚いて硬直していた彼女だが、フェロモンを含んだ俺の舌が彼女の口内を優しく這い回ると、すぐに全身の力が抜け、俺のシャツの胸元をすがるように強く握りしめてきた。
眼鏡がずり落ち、隠されていた潤んだ瞳が露わになる。
その瞳には、すでに俺への絶対的な依存と、初めて知る快楽への渇望が浮かんでいた。
(あはは、チョロい! チョロすぎるぞ! 男を狂わせるのも楽しかったけど、こういう純粋な女の子をトロトロに溶かして俺のモノにするのも……最高にゾクゾクするな!)
「……可愛い。もっと、声聞かせて?」
俺は彼女のシャツのボタンに指をかけながら、底なしの甘い罠へと、孤独な女子大生をゆっくりと沈めていった。
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重なり合った唇の隙間から、彼女の甘い、震えるような吐息が漏れた。
「んっ……ふぁ……ぁっ……」
最初は触れるだけの、確認するようなバードキス。
だが、彼女が抵抗せずに俺のシャツの胸元をぎゅっと握りしめたのを合図に、俺は少しだけ顔を離し、ハスキーな声で囁いた。
「息、止まってるよ。もっと力抜いて……口、開けて?」
「あ……んっ……」
俺の言葉と、至近距離から浴びせられる極甘のフェロモンに当てられ、彼女は催眠術にでもかかったように素直に唇を開いた。
その無防備な隙間へ、俺はすかさず自分の舌を滑り込ませる。
「ちゅ……んっ、れろ……っ」
「んぁ……っ! あ、はぁっ……んんっ……!」
舌先が触れ合った瞬間、彼女の体がビクンと大きく跳ねた。
男のガツガツした強引なキスとは違う。
ゼリーのように柔らかく、どこまでも繊細な粘膜の感触。俺は彼女の怯えた舌を優しく迎え入れ、絡め取り、上顎を撫で上げるようにゆっくりと味わい尽くしていく。
(うわ、やばい。女の子の口の中って、こんなに甘いのか!? 佐藤くんやさっきの高校生みたいな『ガツンとくる肉の味』じゃない。まるで高級なフルーツの蜜を吸っているみたいだ!)
ジュルッ、チュル……と、静寂の踊り場に、二人だけの卑猥な水音が響き渡る。
俺は彼女の後頭部に手を回して逃げ場をなくし、さらに深く、深く舌をねじ込んだ。彼女の口内に溢れる甘い唾液を俺の舌で絡め取り、逆に俺のサキュバスとしての魔力がたっぷり溶け込んだ唾液を、彼女の口内へと流し込んでいく。
「んちゅ……あっ、んんっ……! ふぁ、あ……っ」
彼女の呼吸が完全に乱れ始めた。
俺が舌を引くたびに、彼女は無意識にそれを追いかけるように舌を伸ばしてくる。孤独で、誰かの温もりをずっと渇望していた彼女の心に、俺の与える『劇薬』はあまりにも効きすぎた。
「……っ、はぁ、はぁ……っ」
酸欠になった彼女が苦しそうに顔を背け、銀の糸が二人の唇の間にツツーッと伸びた。彼女の顔は限界まで朱に染まり、焦点の合わない瞳からは大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちている。
「ごめん、苦しかった? ……でも、君が可愛すぎるから、止まらなくなっちゃった」
「あ、ぁっ、そんな……私、こんなの、初めてで……頭、おかしくなっちゃいそう」
「いいよ、おかしくなっちゃえば。俺が全部、受け止めてあげるから」
俺は彼女の目尻に浮かんだ涙を舌先でペロリと舐め取り、そのまま首筋へと顔を埋めた。
華奢な鎖骨に唇を押し当て、歯を立てて軽く甘噛みする。
「ひゃあぁっ!?」
「ここ、ドキドキしてる。君の匂い、すごくいい匂いがするよ」
首筋に吸い付き、真っ赤なキスマークを刻みつけながら、俺の手は彼女のブラウスのボタンへと伸びた。一つ、また一つとボタンを外し、彼女の柔らかな肌を外気へと晒していく。
(最高だ。男から吸い取る暴力的な『生気』もいいけど、この純粋な女の子からじんわりと染み出してくる『清らかなエネルギー』が、俺の魔力と混ざり合って極上の快感に変わっていく!)
「んあっ……だ、だめ、こんなところ、誰か、来ちゃい……っ」
「来ないよ。ここは二人きり……。ねえ、もっと俺のこと、感じて?」
言葉とは裏腹に、俺は彼女のブラウスの中に手を滑り込ませ、レースのブラジャー越しに、その柔らかな膨らみを下からすくい上げるように揉みしだいた。
「あぁっ! んっ、いや……っ、あっ……!」
彼女の口から、ついに明確な快楽の喘ぎ声が漏れる。
同性の、しかもイケメン風の美少女に完全に支配されるという圧倒的な背徳感。孤独だった彼女の世界は今、俺が与える甘い毒によって、音を立てて崩れ去ろうとしていた。
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重ねた唇を一度も離すことなく、俺は空いた手を彼女の短いスカートの奥、薄い下着の中へと滑り込ませた。指先に触れた布地は、すでに彼女自身の溢れ出た愛液でぐっしょりと湿り、甘い熱を放っている。
「ん……っ、ちゅ……れろっ」
「ふぁ……んんっ!?」
驚きに震える彼女の口内に深く舌を絡めながら、指先を濡れそぼった密腔へと、ゆっくりと滑り込ませた。ぬちゃり、と卑猥な水音が小さな踊り場に響き、彼女の身体が跳ね上がる。
「んちゅ……ぁ、声、漏れてるよ。すごく可愛い……」
唇を塞いだまま指を深く押し進めると、彼女は塞がれた口から「んぅ、あ……っ!?」と可憐な悲鳴のような喘ぎ声を漏らした。息が詰まるほどの背徳的な快感に、彼女の華奢な背中が弓なりにしなり、俺のシャツの胸元をすがるように強く掴んでくる。
俺は指を挿入したまま、もう一方の親指で彼女の蕾――クリトリスを、ゆっくりと丁寧に撫で回した。円を描くように、押し潰さないよう絶妙な力加減で優しく刺激を与えるたび、彼女の膣壁がキュッと俺の指を締め付けてくる。
(はぁ、たまらん。指先からダイレクトに、彼女の純粋な情動が流れ込んでくる……!)
濃密なキスを継続しながらの丁寧な愛撫。同性だからこそわかる繊細なアプローチと、サキュバスのフェロモンの相乗効果で、彼女の防衛線は跡形もなく崩壊していた。
「んっ、は……ぁっ! あ、そこ……なに……っ、頭、真っ白になっちゃう……ぁんっ!」
キスの合間にこぼれ出る喘ぎ声は、さっきまでの控えめな彼女からは想像もつかないほど甘く響いていた。彼女の全身から溢れ出す澄んだ生気が、俺の魔力と混ざり合い、身体の奥底から極上の充足感をもたらしていく。
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「んぁっ、だめ、そんなの……っ! あ、あたま……おかしく、なるぅ!」
深いキスで息を奪いながら、指の動きのピッチを少しずつ上げていく。
愛液でぬかるんだ腔内をゆっくりと掻き回しながら、親指でピンと張り詰めた蕾を優しく、だが確実に追い詰めるように擦り上げた。
「んちゅ……ふふ、いいよ。全部忘れて、俺の中でいっちゃいな……」
「あ、ぁっ! いく、いっちゃうっ! お姉さんっ、あぁぁぁっ!!」
彼女の身体が弓なりに弾け、俺の首に回された腕にぎゅっと力がこもる。
女同士の、逃げ場のない甘く密やかな快楽。彼女の膣壁が俺の指をキュウキュウと締め付け、熱い愛液が指を濡らして溢れ出た。
その瞬間、澄み切った清らかな生気の粒子が、指先と重なった唇から俺の体内へとドッと流れ込んでくる。
(くぅ〜っ! 男のガツンとくる力強い生気もいいけど、この果実みたいにピュアな女性のエネルギー、めちゃくちゃ身体に沁みわたる!)
彼女が脱力して俺の胸にぐったりと体重を預けるのを受け止めながら、脳内でカウントの鐘が鳴る。
(女性だから+1点! これで累計11点! 男よりポイントは少ないけど、満足感と精神的な癒やしはハンパないな)
「はぁっ、はぁ……っ、私、どうしちゃったの……」
真っ赤な顔で涙目を浮かべる彼女の額に、俺は優しくちゅっとキスを落とした。
「よく頑張ったね。すごく可愛かったよ」
「あぅ……っ」
メガネをかけ直してあげて、乱れた服を整えてやる。彼女はすっかり毒気が抜け、俺を恋する乙女の目で見つめていた。
「じゃあ、俺はそろそろ行くね。また寂しくなったら、俺を思い出して?」
「え、あ……」
名残惜しそうに手を伸ばす彼女にウインクを一発贈り、俺はスマートに階段の踊り場を後にした。追ってこられないよう、路地裏に滑り込んで一瞬で変身を解く。
(ふぅー!初・女性ターゲット攻略、大成功だな!)
日差しが照りつける街中に戻り、俺はルンルン気分で歩き出した。
女性からのエネルギーは1点とはいえ、質の良い生気を補給したおかげで、身体の奥から魔力がみなぎり、お肌のコンディションも絶好調だ。
現在のポイントは11点。100点のゴールまではあと89点。
(さてさて、お次はどうしようか? 男で手堅く5点を稼ぎに行くか、それともまた一捻り効かせたシチュエーションで攻めるか……)
俺は周囲の人間模様を観察しながら、次の「獲物」と「仮面」を吟味し始めた。