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「若葉ちゃん、そろそろ帰るわよ」
「は~い、双葉…ううん、お母さん!」
俺は数年前、この双葉さんをめぐって敏明と良いライバルだった。
…と思っていたのは俺のほうだけだったらしい。俺は敏明に殺された。事故に見せかけて。
だが死んだはずなのに、寒かった、暖かかった、ほのかな光に包まれていた。
次第に視界がはっきりしてきて、思考が目覚めてきて、俺が俺だという認識を取り戻してきたとき。
俺は気が付いた。自分が物心ついたくらいの幼女になっていることを。
母親は、双葉さんだった。
そして父親は…敏明だった。
あいつは俺が死んで悲しむ双葉さんにつけこんで、早々にモノにしやがったんだ。しかしおかげで、死んだばかりの俺が宿ることができた。
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敏明の俺殺しを告発するか?それとも双葉さんに俺だということをうちあけるか?
いずれも信じてもらうのは難しそうだった。少なくとも一人で出歩けるようになって証拠集めができるようになるまでは。
それに今は敏明との家族ごっこを続けないと、生活に困る。せめて俺が小学生になって、双葉さんが職場復帰できるまでは、敏明にATMになってもらう必用があった。
でも最後には、敏明は罪を背負って消えてもらい、母子という関係にかわってしまっても双葉さんと二人の幸せを掴むんだ。
敏明のしたことを知って、俺が、娘の若葉が俺だと知れば、きっと双葉さんも俺を愛してくれる。
とはいえ今の立場も役得はある。
「ねぇ、お母さん、一緒にお風呂入ろ!」
あぁ、俺が死んでから一段と熟れたいい体になった双葉さんと一緒にお風呂!
「いいな~お母さんおっぱい大きくて。ねぇ、触ってもいい?」
「もちろんよ、若葉ちゃんもお母さん似だから、きっとおおきくなるわよ~」
俺が巨乳に…か。なんか実感わかないけど、それはそれで…うっしっしぃ
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「ふふっ、若葉ちゃんたら、本当に甘えん坊さんなんだから。でも、その前にちゃんとパパに連絡、入れておかないとね」
双葉さんが優しく微笑みながらスマートフォンを操作する。
その画面に映る「敏明」の文字を見た瞬間、俺の脳裏にあの冷酷な男の顔がよぎり、背筋にすっと冷たいものが走った。
そうだ、俺は今、あいつの娘として生きている。
あいつの血がこの小さな体に流れていると思うと吐き気がするが、今は耐えるときだ。
「ねぇ、お母さん。パパ、今日もお仕事遅いの?」
俺はできるだけ無邪気な幼女の声を意識して、上目遣いで尋ねる。
「そうね、パパ最近新しいプロジェクトを任されたみたいで、すごく忙しそうなの。でも、若葉ちゃんのためにお仕事頑張るって言ってたわよ」
皮肉なものだ。
俺を殺して手に入れた幸せの絶頂で、あいつは今、必死に働いている。
その稼ぎ(ATM)で俺が養われているのだから、因果応報というか、なんというか。
「ふーん。じゃあ、パパが帰ってくる前に、お母さんと二人でいーっぱい仲良ししちゃお!」
「もう、若葉ちゃんたら!」
クスクスと笑う双葉さん。
その無防備な笑顔は、数年前、俺が恋い焦がれていたあの頃と少しも変わっていない。いや、大人の色気が増した分、今のほうが断然魅力的だ。
脱衣所で服を脱ぎ、いざ浴室へ。
湯気の中に現れた双葉さんのプロポーションは、まさに「成熟」という言葉が相応しかった。
独身時代よりもさらに豊かさを増した胸元、きゅっと引き締まった腰回り。
これが俺を殺してまで敏明が手に入れたかった果実かと思うと、激しい独占欲と、それを今すぐ目の前で拝めている優越感が交錯する。
「ほら、若葉ちゃん、まずはお背中流してあげるね」
「わぁい、ありがとうお母さん!」
小さな椅子に腰掛け、双葉さんの温かい手と泡に包まれる。
背中に当たる柔らかい感触に、俺の精神(男)は狂喜乱舞していた。
(最高だ! 敏明、お前が外で必死に頭を下げて働いている間、俺はお前の最愛の妻とこうして肌を合わせているんだぞ。お前が作った家庭の特等席にいるのは、他でもない、お前に殺されたこの俺だ!)
背中から伝わるぬくもりを感じながら、俺は湯船の湯面に映る自分の顔を見つめた。
大きな瞳に、ふっくらとした頬。
鏡を見るたびに、敏明の面影が少しでも混ざっていないか不安になるが、幸いなことに双葉さんの遺伝子が強く出ているようだ。
「よし、綺麗になったわ。じゃあ、次は若葉ちゃんがお母さんの前を洗ってくれる?」
「うんっ! 任せて!」
手渡されたスポンジを握りしめ、俺は双葉さんの正面に向き直る。
目の前には、あこがれの豊満なバスト。
「じゃあ……失礼しますっ」
「ふふ、そんなにかしこまらなくていいのよ?」
弾力のある肌に触れた瞬間、指先から全身に電流が走るような錯覚を覚えた。
役得、まさに役得。だが、それと同時に、俺の幼女の体の中に眠る「復讐の炎」が静かにパチパチと音を立てる。
今はまだ、この男を狂わせるほど魅力的な母親の、可愛い盛りの愛娘。
だが数年後、俺が小学生、中学生と成長し、敏明の化けの皮を剥ぐ証拠を手に入れたその時――。
(覚悟しておけよ、敏明。お前のすべてを奪い取って、この人は俺が一生幸せにしてやるからな)
「若葉ちゃん? どうしたの、じっと見つめて」
「ううん! お母さんがあんまり綺麗だから、見とれちゃった!」
満面の笑みで答える俺の頭を、双葉さんが愛おしそうに撫でてくれる。
湯気の中で交わされる親子の会話。その裏側で、俺の冷徹なカウントダウンはすでに始まっていた。
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「じゃあ、お母さん、一緒にお湯に入ろ!」
俺は双葉さんの手を引いて、なみなみとお湯が張られた湯船へと進んだ。
小さな足で一歩踏み出すと、温かいお湯が体を包み込んでいく。
「ふぅ極楽、極楽ぅ……」
「もう、若葉ちゃんたら、本当におじいちゃんみたいなこと言うんだから」
「あ、ちがうの! テレビで言ってたの!」
(危ねぇ! 中身が三十路超えの男だってこと、うっかり忘れるところだった! もっと女の子らしく、可愛く振る舞わなきゃダメだ!)
俺は慌てて両手でパチャパチャとお湯をすくい、頬に当ててみせた。
「あったかくて、きもちいいね、お母さん!」
「そうね。あ、ほら、こっちにおいで? 湯船の中でぎゅーってしてあげる」
双葉さんが湯船の中で両腕を広げる。
俺は待ってましたとばかりに、その胸に飛び込んだ。
いや、幼女らしく、トトトッと甘えるようにすり寄った。
「えへへ、お母さん大好き!」
後ろから包み込まれるように抱きしめられた瞬間――背中に、言葉を失うほどの圧倒的な柔らかさが押し当てられた。
湯圧のせいか、あるいは密着度のせいか、そのボリューム感と弾力がダイレクトに俺の背骨を刺激する。
(う、うおおおおおッ!! なんだこの破壊力は! 独身の頃の双葉さんも凄かったが、今の双葉さんは完全に『母性』という名のエロティシズムが限界突破してる! 背中全面が、極上のマシュマロに埋もれてるみたいだ!)
頭がどうにかなりそうだったが、俺は必死に理性を保ち、小さな体を双葉さんに預けた。
「若葉ちゃん、本当に小さくて可愛いわね。お母さん、若葉ちゃんが生まれてきてくれて、本当に幸せよ」
「……お母さん」
「パパもね、若葉ちゃんが生まれた時、病院で男泣きしてたのよ? 『この子は俺の命に代えても守る』って」
双葉さんが愛おしそうに俺の髪をなでおろす。
その言葉を聞いた瞬間、背中の心地よさに溶けかけていた俺の脳裏に、冷や水がぶっかけられたような衝撃が走った。
(敏明、お前が男泣きぃ!? 白々しいターゲットを仕留めて、完全犯罪を成し遂げた達成感の涙だろ、それは! 命に代えても守る、だと? よくもそんなセリフが吐けたもんだ!)
怒りで体がわずかに強張る。
それを察したのか、双葉さんが顔を覗き込んできた。
「あら、どうしたの? 寒かった?」
「ううん、ううん! なんでもないの!」
俺は慌てて、わざとらしく首を振って、とびきりの笑顔を作った。
「パパ、そんなこと言ってたんだぁ。でもね、お母さん。若葉は、パパよりも、お母さんのほうが、だーい好き!」
「ふふ、パパが聞いたらショックで泣いちゃうわね。でも、お母さんも若葉ちゃんが一番大好きよ」
「ホント? 約束だよ? ずーっと、お母さんは若葉だけのものだからね!」
小指を立てて、双葉さんの目の前に突き出す。
ただの子供の独占欲に見えるだろう。
だが、これは俺の本心であり、これからの宣戦布告でもあった。
(そうだ。敏明、お前の居場所なんて、この家庭には最初から用意されてねぇんだよ。お前がどんなに良き父親を演じようが、俺がその仮面をじわじわと剥ぎ取ってやる。まずは双葉さんの心を、完全に俺だけのものにしてみせる!)
「はい、指切りげんまんね。ずーっと一緒よ、若葉ちゃん」
双葉さんの細く、綺麗な小指が、俺の小さな小指に絡みつく。
背中に感じる極上のぬくもりと、双葉さんの優しい笑顔。
この至福の空間を、あいつには一瞬たりとも渡さない。
「ねぇお母さん、のぼせちゃうから、そろそろ出よ?」
「そうね。じゃあ、上がってパパにお電話しましょうか」
「うんっ! 若葉、パパに『お仕事がんばってね』って言ってあげる!」
(待ってろよ、敏明。お前の可愛い娘(俺)が、最高の笑顔で、お前を地獄へ引きずり下ろす準備をしてやるからな)
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「ねぇ、お母さん……もう夜の九時だよ? まだパパ帰ってこないの?」
俺はリビングのソファで、パジャマの袖をぎゅっと握りしめながら、わざとらしく大きなあくびをしてみせた。
着ているのは、昼間に双葉さんと一緒に選んだお揃いのパジャマだ。
淡いピンク地に、ちいさなイチゴの柄がたくさん散りばめられた可愛らしいデザイン。
俺(幼女)と双葉さん(大人の女性)で並ぶと、まさに理想の仲良し親子に見えるはずだ。
「そうねぇ……パパ、今日は遅くなるって連絡があったから、先に寝ていていいのよ? 若葉ちゃん、眠くなっちゃったでしょう」
双葉さんが優しく微笑みながら、俺の頭を撫でてくれる。
「やだ! お母さんと一緒に寝たい! 今日は一人で寝るのやだぁー!」
俺は幼女特有のワガママを発動させ、両足をバタバタさせてダダをこねてみた。
両目をぎゅっとつむり、語尾を伸ばして甘える。
(三十路超えの男のプライドが『恥ずかし死に』しそうだが、双葉さんと一緒に寝るためならプライドなんてドブに捨ててやる! 幼女の特権、使い倒してやるぜ!)
「もう、若葉ちゃんったら。いつものお部屋じゃなくて、お母さんのお布団で寝たいの?」
「うんっ! お母さんのお布団で、ぎゅーってしながら寝たいの! だめ……?」
上目遣いで、うるうる(させたつもり)の瞳で見つめ返す。
「ふふ、ダメなわけないじゃない。じゃあ、一緒にお布団入ろうね。パパには『先に寝ます』ってメッセージ入れておくから」
「わーい! お母さんだーいすき!」
俺は心の中でガッツポーズを決めた。
(勝った! 敏明、お前が残業でシコシコ働いている間に、俺は双葉さんのベッドイン権を獲得したぞ!)
ベッドに入り、電気を消すと、暗闇の中に双葉さんの甘い香りが満ちた。
双葉さんはリラックスするために、家ではブラジャーを外してナイトウェア(お揃いのイチゴ柄パジャマ)を着ている。
つまり、今は完全な無防備状態――ノーブラだ。
「ほら、こっちにおいで、若葉ちゃん」
双葉さんがお布団の中で手を広げる。
俺は吸い寄せられるように、その胸元へと飛び込んだ。
顔を埋めた瞬間、布越しに伝わる圧倒的な柔らかさと温もり。
(う、うおっ!! なんじゃこの包容力は!? ブラの補正がない分、自然な柔らかさがダイレクトに顔全体を包み込んでくる! まさに極上のクッション……いや、天然の羽毛布団以上の至高の感触!)
「ふふ、若葉ちゃん、お母さんの胸に顔埋めちゃって。苦しくないの?」
「んあ……ふぁい……お母さんのおっぱい、あったかくて気持ちいいの……」
俺はあえて舌足らずな声で答えながら、すりすりと頬を寄せ、その至高の感触を噛み締めた。弾力があるのに、どこまでも柔らかい。
生きているぬくもりが、俺の顔全体から脳へと伝わっていく。
(お前はこんな素晴らしい感触を独占していたのか。許しがたい暴挙だ。だが今日からは違う。お前が手に入れたかった幸せの真ん中で、俺はこうして双葉さんのぬくもりを感じている)
「若葉ちゃん、本当に甘えん坊さんね……。おやすみなさい、私の可愛い宝物」
双葉さんが俺の背中をトントンと優しく叩き始める。その規則的なリズムと、胸の温もり、そしてイチゴ柄のパジャマから漂う甘い香りに、俺の意識も次第にトロトロと溶けていく。
(待ってろよ、敏明。お前が帰ってきた時、寝室で俺と双葉さんが寄り添って寝ている姿を見て、せいぜい悔しがるがいい……)
俺は双葉さんの胸にしっかりと顔を埋め直すと、最高の満足感に包まれながら、深い眠りへと落ちていった。
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カチャリ、と静かな金属音が静寂を破った。
重い玄関のドアが閉まり、聞き覚えのある足音が廊下を近づいてくる。
俺は双葉さんの胸に顔を埋めたまま、耳だけを澄ませた。
(来た……敏明だ)
寝室のドアが静かに開き、薄暗がりの中に男のシルエットが浮かび上がる。
疲れた様子でネクタイを緩めながら、ベッドへ視線を向けたあいつが、息をのむ気配がした。
「ただいま、双葉、若葉」
敏明の低く掠れた声。
俺はすやすやと規則正しい寝息を立てるフリをしながら、双葉さんのパジャマの生地をぎゅっと指先で摘まんだ。
さらに顔を深く押し当て、双葉さんのノーブラの柔らかな胸元に埋もれてみせる。
「すっかり寝ちゃってるな。二人でお揃いのパジャマなんて着て……」
あいつの足音がベッドの脇で止まる。
頭上から降り注ぐ敏明の視線。
俺を殺した張本人が、今、父親として俺を見下ろしているのだ。
背筋にゾクゾクとした不気味な快感が走る。
(見ろよ、敏明。お前が遅くまで残業して稼いできた金で買ったパジャマを着て、お前が愛してやまない妻の胸の中で寝ているのは、お前が殺したはずの男だぞ)
「若葉のことも、俺が絶対に幸せにする」
愛おしそうに、敏明の大きな手が俺の頭に伸びてきた。
その手が髪に触れた瞬間、激しい嫌悪感が全身を駆け巡ったが、俺は完璧な「愛くるしい幼女」を演じきった。
「ん……ぅ……ん……パパぁ……?」
わざと寝返りを打つフリをして、敏明の手をすっと払いけのけ、双葉さんの体にぴったりと抱きついた。
小さな足を双葉さんの脚に絡め、腕をその細い腰に回す。
「若葉……?」
「ううん……お母さん……ずっといっしょ……パパにあげない……」
寝言のフリをして、幼女らしい甘えた声で呟いてやった。
双葉さんの豊かな胸にすりすりと頬を寄せ、完全に敏明をシャットアウトするポジションをキープする。
「なんだよ、若葉。パパのこと嫌いなのか?」
あいつの声に、かすかな戸惑いと寂しさが混ざるのを俺は見逃さなかった。
(当たり前だろ。誰がお前なんかに双葉さんを渡すかよ。お前が築き上げたこの温かい家庭の真ん中で、お前だけが除外されていく恐怖を、じわじわと味わうがいい)
「……ふふ、まあいいか。二人とも、おやすみ」
諦めたように苦笑いした敏明が、俺と双葉さんに掛け布団を優しくかけ直す。
パタン、と寝室のドアが閉まり、あいつの足音が離れていった。
(くっくっく……勝った。今夜の勝負は、俺の完全勝利だ)
暗闇の中、俺は双葉さんの胸の温もりに包まれながら、心の底で意地悪く微笑んだ。
「ん、若葉ちゃん……パパ帰ってきたの……?」
双葉さんが寝ぼけた声で、俺の小さな体を抱き締め返してくる。
「ううん、お母さん。なんでもないよ……おやすみなさい」
「えへへ……おやすみ、若葉ちゃん……」
再び深い眠りに落ちていく双葉さんの呼吸を感じながら、俺は誓った。
小学校に入ったら、まずあいつの車やパソコン周りから証拠を探す。
敏明、お前からすべてを奪い取って地獄へ叩き落とすその日まで――俺は最高の「可愛い娘」を演じ続けてやる。