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/tachiha/ - たちは板κ

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e522c0ec No.4246

89bc23fd No.4332

「……嘘、だろ?」
喉から出た声は、あまりに高くて、澄んでいた。
朝。目を覚ました瞬間の、あのとてつもない違和感。
布団の感触がいつもより柔らかく、身体が妙に軽くて……そして、胸元に感じる、あり得ない「重み」。
俺は——いや、私?——は、弾かれたようにベッドから飛び起き、這うようにして姿見の前へと向かった。
そして、そこに映っていたのは。
「誰……これ?」
そこに立っていたのは、昨日までの、冴えない男子高校生の俺じゃない。
栗色の髪を少し不器用そうにサイドテールに結い上げ、少し切れ長の、紫色がかった瞳。
何より、白い制服のシャツを押し殺すような、あまりに主張の激しい「膨らみ」。
間違いなく、美少女、だった。
しかも、どこかで見たことのあるような……いや、違う。この姿、この顔立ち、そしてこの胸の感触……これは、俺自身だ。
鏡の中の「彼女」が、俺と同じように、驚愕に目を見開き、信じられないものを見る目で自分の身体を見つめている。
「夢だ……これは、絶対に夢だ……」
頬を抓ってみる。
痛い。
夢じゃない。
深呼吸をしようとするが、胸が苦しくて上手くできない。この胸の重みが、現実であることを無情にも突きつけてくる。
その時、階下から母さんの声が聞こえた。
「コラ、瑞希!いつまで寝てるの!学校遅れるわよ!」
「みず……き?」
それは、俺の……いや、「私」の名前。
昨日までは、男の名前だったはずだ。
なのに、母さんの声に、何の違和感もなかった。まるで、最初から私が「瑞希」という名の女の子であったかのように。
俺は、鏡の中の「瑞希」と向き合う。
この身体、この声、この名前。
全てが、私の新しい現実。
(俺は、あいつらの……いや、みんなの知ってる、男の俺じゃないのか?)
(もし、このまま、私が女の子として、この人生をやり直すことになったら……?)
混乱、恐怖、そして……心のどこかで、このあまりに完璧な美少女の身体に対する、言葉にできない高揚感が、私を支配しようとしていた。
私は、自分の新しい「胸」にそっと手を添える。
その柔らかな感触と、ドクドクと波打つ鼓動が、手のひらを通して伝わってくる。
「私は……私を、受け入れるのか?それとも……」
鏡の中の「彼女」は、まだ、答えを知らない。
ただ、その瞳には、昨日までなかった、新しい人生への戸惑いと、ほんの少しの覚悟が、静かに宿り始めていた。



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