更衣室へと続く静かな裏通路に入ると、俺はようやくふぅっと甘い息を吐き出した。
「はぁ……楽しかったぜ」
キャラクターのおっとりした口調から、怪盗クロウとしてのぶっきらぼうで妖艶な地声に戻る。
自分の豊かなバストを、両手で下から優しく持ち上げるように揉んでみた。
衣装越しに伝わる、モチモチとした柔らかい弾力と温もり。
「大勢の視線を浴びて昂ぶったせいか、この体……また少し熱くなってきやがったな」
首筋にうっすらと浮かんだ汗を指先で拭い、ペロリと舐める。
大人の女の香水と、グラビアモデルの肌の甘い匂いが混ざり合い、濃厚な快感を漂わせていた。
スマホを取り出して画面を見ると、Xのトレンド1位には『#神コスプレイヤー』『#奇跡の爆乳魔法銃士』のワードが堂々と鎮座していた。俺の写真がタイムラインを埋め尽くしている。
警察署を大混乱に陥れ、組織の裏金を暴いて世間を騒がせた大怪盗が、休日にコスプレ会場で最高峰の美貌を披露し、ネット上を大バズりさせている。
この滑稽で、最高にスリリングな事実。
「警察の連中がこれを見たら、どんな顔をするだろうな……? まさか自分たちが血眼になって探しているクロウが、イベント会場でアイドル扱いされてるなんて夢にも思わないだろうぜ」
鏡に映るグラマーな自分の姿に向かって、俺は不敵で淫靡な笑みを浮かべた。
今回は『若い文化の吸収と、群衆の視線誘導の訓練』という名目の休日だったが、実に実りのある、最高のオフになった。
この身体の感触をもう少し堪能したら、次は更衣室で別の『一般客の女性』に声をかけ、また新しい姿へと静かに乗り換えるとしよう。
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