「よし、それじゃあ配信の構成を確認するぞ。清丸、いいか?」
詩織の姿の俺は、手元のメモ帳を広げて太刀葉(清丸)に向き合った。
中身は男の俺だが、この小柄な身体で一生懸命に仕切っている姿は、客観的に見れば「背伸びしている妹」そのものだろう。
「うむ。清彦よ、その『てぃっくとっく』というやつで、我が直接民草の願いを聞き届ければよいのだな?」
太刀葉の身体を借りた清丸は、どこか楽しげに紅い瞳を輝かせている。
「そう。名付けて『リアルタイム神頼み』だ。コメントで流れてくる願い事を、清丸がその場で読み上げて祈願する。ネットの向こうの連中にとっては、自分の名前を巫女さんに呼ばれるだけで、ただの視聴が『信仰』に変わるはずだ」
「なるほど、効率的だ。だが清彦、そなたの方はどうするのだ? 姉妹の仲良しトーク……と言っていたが」
「そこが肝心なんだよ。俺……いや、詩織は、清丸(太刀葉)にベタベタに甘える役をやる。清丸はちょっとクールなお姉様って感じで。ネットの連中は、そういう『尊い』関係性に弱いんだ。ついでに『このお守り、お姉様とお揃いなんです♡』って宣伝すれば、遠方のやつらも郵送で欲しがるはず」
すると、太刀葉の瞳がふっと黒に戻り、彼女自身の声が漏れた。
「えっ、清彦君、私に甘えるの? 配信で、みんなが見てる前で?」
「あ、太刀葉。そうなんだ。恥ずかしいとは思うけど、詩織の身体が勝手に反応しちゃう部分もあるから、それを逆手に取るっていうか……」
「う、うん。清彦君がそう言うなら、私、頑張る。お姉ちゃんっぽく、清彦君を可愛がればいいのよね?」
太刀葉が顔を赤くしながらも、やる気を見せてくれる。そこに清丸がまた割って入った。
「くふふ、太刀葉よ、案ずるな。甘えさせるのは我の得意分野だ。清彦、そなたが詩織の魂に流されて、我の胸に飛び込んでくるのを楽しみにしておるぞ」
「ちょっ、清丸! 職権乱用するなよ! ……とにかく、神社の歴史や白蛇の伝説もちゃんと紹介して、ただのアイドル配信じゃないってところも見せないと。あ、そうだ。清丸、配信の最後で『もっと力を……信仰を……』って、ちょっとミステリアスに締めてくれ。そうすれば、もっと参拝客が来るはずだ」
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